今年のカンヌ国際映画祭批評家週間に正式出品された『青い瞼』。今回のコンペティション部門に選ばれた本作が10月23日(火)に上映され、監督、エルネスト・コントレラスと主演女優・セシリア・スアレスによるティーチインが行われた。短編映画では高い評価を受け、各国映画祭で賞も受けているコントレラス監督。長編初監督作である本作のテーマは“孤独”だ。「面白いとは言えないが、こうした映画を観ることができて嬉しい」と言う観客に対して監督は、「孤独というのは現代の私たちにとって非常に身近で、切り離せない問題だと思っています。また、映画に出てくる主人公たちというのは、“ヒーロー”とは逆の立場にある人物たち。かっこ悪かったり、それほど人生にも成功していなかったり、そうした人物像というのは今の私たちの世代にとって身近な存在なのではないでしょうか?」と本作を製作するきっかけを語る。リゾート地へのペア旅行券を得ても、一緒に旅をする相手が誰もいない主人公・マリナを演じたのは、『スパングリッシュ 太陽の国から来たママのこと』、『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』などにも出演しているメキシコのベテラン女優、セシリア・スアレス。「この映画は、いわゆるアンチヒーロー物語というか…。負け犬といってしまっていいのかどうか分かりませんが、人生に成功してない人の物語。シナリオ通りに人生がいかなくて悩んだりするキャラクターに心惹かれるんです。私は彼女の存在のあり方が気に入っています。賢くて強いところもあるんだけど、でも…って、矛盾だらけなんですね。一番好きなのは、情けない状況の中にいてもギブアップしないところ。夢を持っているところですね」と、自身が演じたキャラクターについて語ってくれた。「個人的に小鳥が好きだし、この鳥はマリナの心を表しているんだ」と、監督が語るように、小鳥のシーンも非常に印象的。この“小鳥”と、タイトルにもある“青”の色、そして美しい音楽が心に残る本作。コンペティションで、どういう結果を残すのか、楽しみだ。「東京国際映画祭特集」http://blog.cinemacafe.net/tiff2007/