役作りのスタートは肉体からのアプローチ
――足掛け10年にわたって左之助という役と向き合ってきました。ここまで長く役と付き合うことはなかなかない経験だと思いますが、映画『るろうに剣心』シリーズ、そして左之助という役柄は青木さんにとってどういう経験であり存在だったのでしょう?
本当に特別だと思いますね。こんな凄いものが詰まったとんでもないプロジェクトに出会えるっていうのは、どんな仕事のジャンルにおいても、幸せだと思うんですよね。自分のキャリアにおいて、とんでもなく大きな意味を成すと思いますし、喜びですよね。幸せだと思っています。
もちろん、結果として“10年”になっている訳であって、パート1の時はここまで見据えている訳ではなかったです。ここまでの作品が続いたのは、現場はもちろんですが、関係者のおかげであったり、公開された後も、多くの人に支えられたからだと思います。本当にそう感じますね。

――左之助役は基本的にテンションが高めで、フィジカルで勝負するキャラクターですが、毎回、役に入る際のスイッチとなるルーティンであったり、続けてきたことなどはありましたか?
パート1の撮影前は、パンチの出し方からアクションの練習を始めました。そこから少しずつキャラクターをつかんでいったんです。僕のそれまでの作品では、資料を集めたり、分析したりと、“心”から作ることが多かったんですけど、左之助に関しては、自分で動いて、動いて、動いて…その中でキャラクターを作っていく、肉体からのアプローチでキャラクターを作っていきました。
だから、何年経ってもその動きを繰り返せば、キャラクターや精神が蘇ってくるというのを感じました。もちろん衣装や髪型もそうですし、スタッフの顔や神谷道場のセットを見てもそうです。だからキャラクターに戻れるかどうかという不安はなかったですね。
――パート1のアクションの対戦相手は、元格闘家の須藤元気さんでしたが、パンチを習うところから始めたんですね?
そうです。大丈夫かなって不安もありましたけど、いろんなアクションシーンで助けてもらって、なんとかキャラクターを成り立たせることができたかなと思います。
大友(啓史)監督とパート1を携えてロスに行った時の現地のお客さんの反応がすごく面白くて。各キャラクターが出るたびに拍手したり口笛を吹いたりしてくれて、左之助のキャラクターもすごくウケていたので、もし続編やるなら、海外の人ももっと楽しめるようにと意識もしていました。