アカデミー賞で9冠に輝いた『イングリッシュ・ペイシェント』や『リプリー』、『コールド マウンテン』などでオスカーの常連だったアンソニー・ミンゲラ監督が18日、ロンドンの病院で死去した。享年54歳。パブリシストによると、ミンゲラは先週、首に出来た腫瘍の手術を受け、経過は順調だったが、18日午前5時に大出血を起こし、そのまま帰らぬ人となった。叙情的な語り口と美しい映像で、メロドラマと社会問題を両立させる名手だったミンゲラの監督としての遺作は、アフリカ・ボツワナで女性として初めて探偵事務所を設立した人物が主人公のTV映画『The No. 1 Ladies Detective Agency』(原題)で、BBCやアメリカのHBOで間もなく放映予定になっていた。先日スカーレット・ヨハンソンの監督デビューのニュースでお伝えした短編企画『New York, I Love You』(原題)にも、監督・脚本で参加しているが、自身のパートの撮影が終わっているかどうかは現時点では不明だ。ミンゲラは脚本家、プロデューサーとしての活躍でも知られ、2月にティルダ・スウィントンがオスカー助演女優賞を受賞した『フィクサー』の製作総指揮を務めた。また俳優として、1月にゴールデン・グローブ賞作品賞に輝いた『つぐない』にも出演している。2006年10月、ロンドン映画祭にて、『こわれゆく世界の中で』のキャストが揃った。左からマーティン・フリーマン、ジュード・ロウ、ロビン・ライト・ペン、ミンゲラ監督。© Getty Images/AFLO