かつて、ニューヨーク港は世界の牡蠣の半分が⽣息する場所だったが、乱獲によりその数は激減した。しかし今、ニューヨーク市民により、牡蠣を港に戻す活動が行われている。牡蠣は呼吸することによって水を濾過し、牡蠣礁は小魚たちの住処となる。環境再⽣の手段のひとつとして、都市を救う可能性を秘めた存在と再評価されているのだ。本作では、牡蠣を通して様々な団体、人々がニューヨーク湾に多様な⽣態系を取り戻し、湾の侵蝕を⾷い⽌めるために活動している様子を追っている。そのような環境に寄与する役割とあわせ、繁殖のために性を転換する、性別を固定していないという牡蠣の特質が、本作の重要なテーマを担っている。
エミリー・パッカー