軍隊のような規律、しごき、怒号が飛び交うグラウンド。プロ野球選手を夢見る高校球児たちの懸命に練習する姿が眩しく映る。野球部内で起こる人間社会の理不尽さ、立ちはだかる残酷な現実が精悍な岳を苦しめていく。優しく励ましの言葉をかける担任霧島に心を救われ、幼なじみ隆との再会によって昔の記憶がよみがえる。巡る季節と続く人生の中で、隆もまた同じように悩みや苦しみを抱えながら生きていたことを知る。目の前には雄大な自然が広がっている。岳は自分自身に問いかける。ぼくは、あの頃何を感じて生きていたのだろうか。
伊地知拓郎
伊地知拓郎