第1部「炭鉱の⼈々(Meet the People)」は、イギリス皇太⼦の炭鉱訪問を控えた炭鉱町が、急ごしらえの“演出”とも⾔えるような清掃や修繕をして、労働者たちが公式⾏事のためだけに動員される過程を、ユーモアとアイロニーを交えて描く。炭鉱の実態には⾒て⾒ぬ振りをし、形ばかりの体裁を整える当局の姿勢と、それに翻弄される労働者たちの姿には、階級社会の構造的な滑稽さと暴⼒性が鋭く映し出されている。
第2部「現実との直⾯(Back to Reality)」では、⼀転して、炭鉱労働における労働者への⼈権軽視と管理体制のずさんさが引き起こす事故の悲劇を、淡々と、痛切に描写していく。死と隣り合わせで働く炭鉱夫たちと、その悲劇に直⾯した家族たちの現実に、観客は否応なく向き合うことになる。劇的な煽りが無い、そのリアリズムゆえに観る者の胸に深く突き刺さる。
ケン・ローチ