アカデミー賞国際長編映画賞ほか受賞の話題作『関心領域』より特別映像が解禁された。
原題でもある「The Zone of Interest(関心領域)」とは、第二次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉。本作では、アウシュビッツ強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む収容所の所長とその家族の暮らしが描かれる。

この度解禁されたのは、ホロコースト加害者の「普通」を演じることの難しさ、演者ファーストの特別な撮影空間も明かされた舞台裏映像。
主人公のルドルフ・ヘス役を演じるにあたり、ジョナサン・グレイザー監督から「真実を語る時は目で嘘をついて、目で真実を語る時は言葉で嘘をつくように」というアドバイスをもらったと明かすクリスティアン・フリーデルは、キャラクターについて「彼は何を考えてるのか読み取れないはずだ。彼はいたって普通で時には退屈な男に映る。加害者には見えない」と分析。
妻のヘートヴィヒを演じたザンドラ・ヒュラーは「強制収容所との距離に衝撃を受けた」と言い、「ヘス家のことは知らなかった。出演すべきか最後まで思い悩んだ」とオファーをもらった時の心境を告白。
そんな2人が演技に集中できるよう、ジョナサン・グレイザー監督はヘス家が暮らした空間を用意した。演者の目に入らないよう家や庭のあちこちに無人カメラを設置し、監督らスタッフは地下で機材を操作。延々とカメラを回し続け、彼らがどのように動くかを“観察”していたという。
膨大な撮影データを細かく繋げていく編集作業もかなりの労力を要するが、監督は「360度どこを見渡しても居住空間が広がってる。だからリアルさが増した。撮影した映像を並び替え、伝えたいストーリーを組み立てていった」と演者の自然な動作を中心に映画を作り上げていったと明かしている。
さらに主演の2人について「(ルドルフとヘートヴィヒを)今の私たちを写す鏡としてもとらえた。2人は真実を伝えることに心血を注いでくれた」と絶賛している。

アウシュビッツ収容所所長のルドルフ・ヘスとその妻ヘートヴィヒ。“人類史上最悪の犯罪”とされるホロコーストの加害者の「普通」の日常を演じた俳優陣のその演技にもぜひ注目してほしい。
『関心領域』は5月24日(金)は新宿ピカデリー、TOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。
『関心領域』© Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.