パク・チャヌク監督がカンヌ国際映画祭コンペティション部門で監督賞を受賞したサスペンスロマンス『別れる決心』。独特の表現に夢中になる人が続出している本作から、パク・チャヌク監督自身が語る3分でさらに分かる特別映像が解禁された。
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隅々にまで監督のこだわりが込められた本作には「何度か観て謎や伏線を確認したい」「一度では消化できないけれど、傑作」といった声が上がり、その独特な表現に何度も観たくなるとリピーター続出中。
今回解禁となった映像では、ソレ(タン・ウェイ)とへジュン(パク・ヘイル)はなぜ惹かれ合うのか、そして監督が描き上げた2人の関係性、さらに2人の脇を固める魅力的なキャラクターまでをパク・チャヌク監督が自ら徹底解説している。
◆2人の関係性について
まずパク・チャヌク監督は、『別れる決心』のタイトルには、“私たちは合わない”と別れる決意をしたとしても、 心の奥底では“別れるべきではない”と分かっているという意味が込められているという。このタイトルのように、本作の表現もひと筋縄ではいかないものばかりだ。「へジュンとソレは考え方が似ているから、2人は恋に落ちるのだ」と言うが、その表現の優雅さにはただ驚くばかり。
本映像の中でも紹介されているが、ソレはヘジュンに「慈悲深い人は山を好むが、自分は海が好きだから慈悲深くない」と語りかける。それに対してへジュンも「僕も海が好きです」と答える。海にも山にも見えるディティールが散りばめられた本作では、さらに2人が好きな荒れ狂う海で映画史に残る衝撃のラストにたどり着くのである。
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2人が似ているという表現はほかにも出てくるが、「夫の死を言葉で説明するか、写真で確認するか」というものであったり、「取調室で高級寿司を食べる様子」であったりと、どれもほかの映画では見ないものばかり。そういった独特な表現を通して描かれる2人の関係性に、夢中になる人が続出している。
さらに、本作では「霧」という国民的歌謡曲や、霧の多い“イポ”という架空の街など、“霧”が印象的に登場している。とあるシーンで、ソレはへジュンに「ここは霧がありません」と優しく語りかけるのだが、それは「彼女が彼の沈んだ心を晴らすと宣言しているようなものだ」と監督は言う。決して“愛している”と言わないラブストーリーを作りたかったというように、本作はこうした直接的ではない表現が度々登場しており、2人だけの世界をより一層ロマンティックに作り上げている。
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監督は本作について、「ある2人の関係の発展と崩壊までを描いたラブストーリーだ」と語っている。喪失を描いた悲痛な物語であるが、それを悲劇に浸るのではなく、さりげなく優雅に語るように表現することを心がけたのだという。
◆ポン・ジュノ監督も絶賛、脇を固める魅力的なキャラクターたち
タン・ウェイが演じたソレとパク・ヘイルが演じたへジュンの脇を固めるキャラクターたちについても、パク・チャヌク監督は語っている。へジュンの妻アン・ジョンアン(イ・ジョンヒョン)は、ソレと対極にある存在として描かれており、ソレが再婚した夫も名刺のデザインだけで高慢な人間性が伝わってくる。
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また、へジュンに憧れて釜山にきた後輩刑事のスワン(コ・ギョンピョ)はへジュンとは違う視点で物事を見つめることができる存在であり、へジュンがイポへ移ってからの後輩刑事のヨンスはスワンとはまた正反対のキャラクターである。ヨンスを演じたキム・シニョンは人気コメディアンで、本作が映画デビュー。パク・チャヌク監督は「彼女は天才だ!」と称賛し、さらに『パラサイト 半地下の家族』(2019)で知られるポン・ジュノ監督も絶賛していることを本映像で明かしている。
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『別れる決心』はTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開中。