各国の映画祭を席巻した話題のドキュメンタリー『FLEE フリー』より日本版予告編が解禁された。
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本作は、主人公のアミンをはじめ周辺の人々の安全を守るためにアニメーションで制作されたドキュメンタリー。世界中で大きなニュースとなっている難民やアフガニスタンを巡る恐ろしい現実、祖国から逃れて生き延びるために奮闘する人々の過酷な日々、そして、ゲイであるひとりの青年が自分の未来を救うために過去のトラウマと向き合う物語を描く。
昨年のサンダンス映画祭でワールド・シネマ・ドキュメンタリー部門の最高賞であるグランプリを獲得、また、アヌシー国際アニメーション映画祭でも最高賞となるクリスタル賞ほか3部門を受賞するなど、ドキュメンタリー、アニメーションという表現の垣根を越えてジャンル横断的に高い評価を受け、各国の映画祭で圧倒的な評価を獲得している。
この度解禁となった予告編は、主人公アミンが誰にも明かしたことのなかった自身の過去を、長年の親友である映画監督(本作の監督ヨナス・ポヘール・ラスムセン)に対して初めて語り始める様子や、その言葉により回想される幼少期からのあまりに過酷な経験、結婚を控えた恋人の男性にさえ過去を話すことができていないという現在の苦悩も切り取った。一方で、アミンによる「変わるべき時だ」「これが僕の物語の始まりだ」という自身のトラウマと向き合った上で一歩踏み出そうとする彼の強い覚悟の言葉も切り取り、本作が持つ未来への希望も感じさせる映像となった。
映像には、本作を絶賛する歴代のアカデミー賞監督達によるコメントも収録。アルフォンソ・キュアロン監督(『ROMA/ローマ』)は、「人を立ち止まらせ、考えさせる。この映画は愛で出来ているのだ」とコメントを寄せており、ポン・ジュノ監督(『パラサイト 半地下の家族』)は、「今年見た映画の中で、最も感動した作品。涙が出た」と絶賛、2021年のベスト映画の1本にも選出している。
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アミンがデンマークに亡命を果たした直後の16歳の頃からの旧友だったラスムセン監督は、若い頃、好奇心からアミンに過去について尋ねたが、彼は何も語ろうとしなかったという。それから約20年の時を経て、アミンの心境の変化もあり、本作の製作に同意。監督は、アミン本人の声と記憶を通してこれまで誰にも語られなかった彼の物語を聞きたいと考え、その心のペースに寄り添いながら約4年もの長い時間をかけて断続的にインタビューを敢行した。
監督は、「ラジオ・ドキュメンタリー制作で長年培ってきたインタビューの手法を用いました。取材対象に、横たわって目を閉じ、かつて目にした光景や匂い、感触を思い出してもらいます。そうすることで、記憶がより強く直接的なものになり、まるで今まさに展開していることのように感じられるのです」と説明する。その上で、“初めて話す”という行為が持つエネルギーを重視し、事前に聞いた内容を改めて語ってもらう“再現”は一切行っていないのだという。
アミンの“語る”勇気と覚悟、親友でもある監督との信頼関係によって生み出された本作。多くの観客に深い感動と希望を与える、唯一無二のドキュメンタリー作品だ。
『FLEE フリー』は6月11日(金)より新宿バルト9、グランドシネマサンシャイン池袋ほか全国にて公開。