舞台は1992年、バルセロナオリンピック開催に湧くスペイン。サラゴサの修道院に通い母親と2人暮らしのセリアは、バルセロナからやってきた大人びた転入生ブリサの影響を受け、新しい音楽や遊びを知り、友人の姉たちとつるむように。しかしいつもの仲間とのゲーム中に発せられたある言葉をきっかけに、セリアは母親が決して話そうとしない真実に向き合うことになる――。

修道院に通うセリアが、友人たちとの新たな経験を通して思春期への扉を開け、家族や自分自身を知っていく様子を描いた『スクールガールズ』は、今日までにスペイン国内を中心に26もの映画賞を受賞。2020年のスペインを代表する映画となった。

4歳から自身も修道院で学んでいたパロメロ監督は、「極めて保守的なスペイン修道院の教育と、オリンピック開催の熱狂渦巻く外の世界に溢れる刺激には大きなギャップがありました。しかし私たち―1992年当時の教育を受けた女性たちこそが、“勉強をし、独立して、なりたいものになれる”とはっきり感じることができた初めての世代だったのではないかと思います」と語っており、本作はキム・ボラ監督が自身の経験を踏まえ、14歳のウニを主人公に描いた韓国映画『はちどり』と共鳴するような、90年代とそこに生きる少女たちのささやかな前進を描いた作品になっている。
今回解禁された予告編では、修道院に通うセリアが転入生のブリサとの交流をきっかけに、新しい世界に足を踏み入れていく様が切り取られている。仲間がゲーム中に発した「親がいなかったことはない」という言葉から、母に聞かされてきた父の話に疑問を持つセリア。「人生はたくさんの真実と、少しの嘘でできている」というコピーは、思春期の入り口に差し掛かった主人公が、大きな秘密に一歩踏み出す前進の物語を予感させる。
『スクールガールズ』は9月17日(金)より新宿シネマカリテほかにて公開。