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前作『フォースの覚醒』に匹敵するほどの熱狂に世界が染まる
12月15日より全国公開され、公開前日の前夜祭を含めた週末4日間ですでに累計動員100万人、累計興行収入16億円超えという、この冬No.1の圧倒的スタートを切った本作。天皇誕生日の祝日とクリスマスイブとなった先週末、公開2週目もその勢いは止まらず、因縁(?)のライバル『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』も寄せ付けず、2週連続で首位を獲得。公開10日間で累計動員数は211万9,325人、累計興収は32億円304万7,400円(12月24日現在)を突破。これから年末年始に向けて、さらなる盛り上がりを見せることが確実視されている。これは前作『フォースの覚醒』と比べても遜色ない数字だという。
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日本と同じく12月15日に公開され、歴代2位となる週末興収2億ドル超えという記録的なオープニングとなったアメリカでも、2週連続週末興収第1位を獲得し、オープニング記録歴代1位を持つ『フォースの覚醒』に匹敵するほどの熱狂が巻き起こっている状況だ。
その一番の理由としては、ファン層の拡大だろう。『フォースの覚醒』で初めて「スター・ウォーズ」の世界に足を踏み入れた10~20代の若い世代や、親子2代(3代も!?)にわたるファンなどファミリー層が数多く見られ、長い人気を誇るシリーズならではの幅広い客層を呼び込んでいる。現在、東京・汐留の日本テレビにて開催中の「衝撃のスター・ウォーズ展」も大盛況らしく、12月22日(金)~24日(日)までの来場者数は6,000人を突破。日本ではここでしか体験できないVR体験や、スタンプコーナーなどが人気を博している。
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さらに12月29日(金)からはIMAX3D、年明け1月5日(金)からはMX4Dと4DXでダークサイドバージョンの公開もスタートし、上映方式や映画館ごとの来場者特典もさまざまに展開中。すでに何度もリピート鑑賞しているファンも後を絶たない。
「スター・ウォーズとはこうあるべき」に縛られない“衝撃”に賛否か
かつてのファンが『エピソード4 新たなる希望』や『エピソード5 帝国の逆襲』に大興奮したように、新世代のファンたちが目を輝かせて見守っている本作。だが、往年のファンを中心に、「光か、闇か」という本作のキャッチコピーさながらに賛否が真っ二つに分かれているという。アメリカでは、あまりの“衝撃”ゆえに、“「スター・ウォーズ」正史から『最後のジェダイ』を外そう”と署名を募っているファンもいるほど。
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脚本も手がけたライアン・ジョンソン監督は、「フォース」や「ジェダイ」について、そして“伝説のジェダイ”ルーク・スカイウォーカーについて新たな物語を紡ぎ出したが、その点に賛成できないファンがいるのも、当然といえば当然かもしれない。思えば『帝国の逆襲』で、それまで宿敵とされた暗黒卿ダースベイダーが“新たなる希望”ルークの父親だったことが明かされたときにも、全世界が騒然となったのだから…。
もちろん、本作の“衝撃”を認めている人は数多い。レイ、フィン、カイロ・レンなど魅力的なキャラクターたちの成長もあり、それこそ“レジェンド”と呼ばれるルーク(マーク・ハミル)やレイア(キャリー・フィッシャー)との新旧キャストの共演には心震える場面が多数。特に、キャリーは昨年12月27日に急逝し、本作『最後のジェダイ』が遺作に。しかも、ハン・ソロ(ハリソン・フォード)は『フォースの覚醒』の劇中で亡くなっているので、彼ら3人が揃って同じスクリーンに登場することはもはや叶わない。だからこそ、ファンは何度でも足を運び、本作の名場面をしっかりと目に焼きつけたいのだ。そして、旧3部作から思いがけない“ゲスト”が登場することもファン心をくすぐっている。
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また、『フォースの覚醒』は話題になっていたから観て、とりあえず楽しめたけれど、『最後のジェダイ』ってどうなんだろう…と様子を見ていた層の中には、ファン同士で喧喧ごうごうとなっている状況に「いったいどういうこと?」「『最後のジェダイ』の衝撃って結局何なの?」と改めて興味を持った人たちも多いだろう。否定的であれ肯定的であれ、双方の意見を目にしたり、詳しく解説するレビュー記事を見たり、ウィリアム&ヘンリー英国王子やジョセフ・ゴードン=レヴィットらがカメオ出演してるって? と聞けば、1度確かめてみようとなったはず。
新しいキャラクターたちが魅力いっぱい!ユーモアもたっぷり
前回登場して人気者となったBB-8 が、今回はポー・ダメロン(オスカー・アイザック)の相棒として、時にはフィン(ジョン・ボイエガ)とローズのお供として大活躍を見せている。もちろん新キャラクター・ポーグも「かわいい!」と公開後も大人気で、チューバッカ(ヨーナス・スオタモ)との名コンビぶり(!?)など、本作には意外と“笑える”シーンが多いことも新規ファンには親しみやすいポイントだ。
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また、ベトナム系アメリカ人のケリー・マリー・トランが大抜擢された新キャラクターのレジスタンスの整備士ローズ、ベトナムを代表する有名女優でありNetflixオリジナル映画『ブライト』にも出演しているベロニカ・グゥ演じるローズの姉ペイジをはじめ、フォースを持たない人々の活躍が本作では色濃い。昨年のスピンオフ『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストリー』を彷彿とさせ、“衝撃”の「スター・ウォーズ」を貫くテーマの1つとなっている。
カイロ・レン=アダム・ドライバーという“闇”に落ちる人が続出!?
本作で気になるのは、レイ(デイジー・リドリー)は何者かという問題と、ジェダイとして彼女の成長、そして彼女とコインの裏表のようなカイロ・レン(アダム・ドライバー)との対峙だ。まさに「光か、闇か…」の選択を迫られる展開であるのに、レイとカイロ・レンのシーンには“え、胸キュン映画?”と思うようなシチュエーションが多々登場しており、なんとカイロ・レンを演じるアダムの鍛え上げられた上半身裸の姿もちらり。
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レイとカイロ・レンこと本名ベンは、何者かになりたい焦燥感や、自分の居場所を探し続ける苦悩を抱える者同士。同じ孤独を知る者同士。お互いを意識している様子もあり、反発し合いながらも分かり合えるのはお互いしかいない、「あなたのことは、ほかの誰より私が知っている」と言わんばかり。Twitterなどを見ると、昨今の胸キュンムービー並に(?)胸キュンする、そんな2人の関係にドキドキする人が多い様子。
何より、中盤の見どころの1つ、レイとカイロ・レンの共闘シーンは、荒削りな2人のたぎるフォースが目に見えるかのようで、手に汗握る興奮を誘う屈指の名シーンとなっている。そして、カイロ・レンがレイに手を差し伸べる際の「頼む(Please)」という言葉は、おそらく彼の本心。「君と一緒なら、僕は戦える」…というのだから!
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また、カイロ・レン演じるアダムのルックスは、ダース・ベイダーのように長身で屈強。ブロンドと青い瞳の伯父ルークの青年時代とは対照的でありつつ、終始、不安げで鬱屈し、その瞳に恐れと悲しみをたたえ、闇に堕ちきれずにいる姿は母性本能をくすぐる。
演じるアダムは、今年、遠藤周作の小説をマーティン・スコセッシ監督が映画化した『沈黙ーサイレンスー』、永瀬正敏とも共演したジム・ジャームッシュ監督の『パターソン』、チャニング・テイタムと兄弟役を演じたスティーヴン・ソダーバーグ監督の『ローガン・ラッキー』など出演作が続々公開され、全く違ったキャラクターを見事に演じ分けていた。窮地の宣教師からカイロ・レンまで演じられる、巧みで繊細な演技力に改めて魅せられた人は数知れず。
「カイロ・レンが美しすぎた」「アダム・ドライバーは最高の演技」「ますます好きになった」といった声のほか、作品に対しては否定的でも「アダムのカイロ・レンだけは別」という声も聞かれている。
ディズニーが贈る2作目の「スター・ウォーズ」は確かに、さまざまな“衝撃”を有しているといえそうだ。