料理をしない女であることはこのコラムで何度も書いてきましたが、八百屋さんにはときどき行きます。八百屋に行くと野菜がなんとも美味しそうに見えて、あれもこれも食べたくなって料理しようかなぁという気になる。そこで、レンジでチンの温野菜以外で、簡単に美味しく野菜を食べるには…と、たどり着いたのはグリル野菜でした(まったくひねりナシ…)。

キッチンに備え付けの魚焼きグリルはあることはあるんです。でも、使った後の掃除が面倒で、一人暮らしをしてからは一度も使ったことがなかった。グリルを汚さずに夏野菜を食べるために…ええ、今回も形から入りましたとも。見た目が可愛くて、そのままテーブルにも出せちゃう陶器の薄型グリラー、その名も「GRILLER グリラー(イブキクラフト)」を購入。蓋付きなのでキッチンのグリルは汚れず、焼くだけなのに料理した気にさせてくれる優秀アイテムでした。バーミキュラと同じ運命をたどらないことを祈ります…。
そんなこんなで家で過ごすことが多かった夏休みの楽しみと言えば、なかなか見られずにいた米ドラマ「メンタリスト(The Mentalist)」を見ること(地味すぎる…)。犯罪コンサルタントのパトリック・ジェーン(サイモン・ベイカー)が、CBI(カリフォルニア州捜査局)やFBIに協力して毎回事件を解決していくドラマで、人の心理を読むジェーンの思考&視点が面白くてハマっています。

ジェーンはどんな人の心理も読み解いてしまうのね! と毎度感心させられているわけですが、先日ポール・ヴァーホーヴェン監督の新作映画『エル ELLE』を観て(この映画とドラマはまったく無関係ですが)、さすがのジェーンもこのヒロイン、ミシェル(イザベル・ユペール)の心理を解き明かすことは無理なんじゃないかなぁと。それほど強烈なキャラクターでした。
ある日、自宅で覆面の男に襲われたミシェルは自分で犯人探しを始めます。いったい誰が犯人なの? という謎解きと並行して、ミシェルってどういう女性なの? 彼女の本性があぶり出されていきます。彼女の言動が何を意味するのか、彼女の思考&心理を理解しようと試みるものの、あまりにも強烈でぶっ飛んでいて、理解するなんて到底無理だって気づく。

クレイジーでエロティック、道徳的でも哲学的でもなく、愛情や友情があるのかさえもわからなくなって、ある種のおとぎ話として、こういう女もいるかもしれないね、と受け止めるしかないというか理解できなくてほっとするというか。味わったことのない感覚に襲われます。ふと思ったのは、ミシェルのことは理解できないし、できなくて構わないけれど、彼女のタフさはいまこの時代を生きる女性に必要なものなのかも…と。それにしても、強烈すぎる女ミシェルを演じたイザベル・ユペール、凄すぎました。今宵はここまで、また次回。