6月、日本で開催された「フランス映画祭2017」で一般の観客によりエールフランス観客賞に選ばれた『夜明けの祈り』。本作で主人公の医師・マチルドを演じたフランスの新星ルー・ドゥ・ラージュは、演劇で磨いた才能とコケティッシュな美貌で、いま大物女優や名匠たちから熱い視線を送られている。1946年のポーランド。赤十字の医療施設で、負傷した兵士たちを祖国へ帰還させるために慌ただしい日々を送っていた女医のマチルド。ある日、助けを求めて駆け込んできたシスターに連れられて修道院を訪れた彼女は、侵略兵によって傷つけられた女性たちの姿を目にする。本作では、こうした戦後まもなくの苦境の中、国籍や宗教の垣根を超えて医者としての誇りを貫いたヒロイン、マチルドの崇高な姿が克明に描かれてゆく。フランスのアカデミー賞にあたる第42回セザール賞では作品賞、監督賞ほか4部門にノミネート。『ドライ・クリーニング』や『ココ・アヴァン・シャネル』など、女性の生き方や愛にめざめていく人々のドラマを、甘美かつ官能的に描いてきたアンヌ・フォンテーヌ監督が映し出した。その本作で若き医師・マチルドを演じたのが、類まれな美貌と実力を兼ね備えた新星・ルー。1990年フランス・ボルドーで生まれ、10歳から演劇団に入り演技経験を磨いた後、モデルやTVドラマでも活躍してきた。かつてのジャンヌ・モローやブリジット・バルドーを思わせる大きな瞳と官能的な唇、そしてハスキー・ヴォイスは、可憐さと意思の強さの両面を垣間見せる。最近では、『世界にひとつの金メダル』('14)、『呼吸 友情と破壊』('15)でセザール賞の有望女優賞に2年連続ノミネートを果たしたほか、国際派女優ジュリエット・ビノシュと『待つ女たち』(未/2016年イタリア映画祭での上映)で共演、2016年にはフランス映画界で最も将来が期待される若手女優に贈られる「ロミー・シュナイダー賞」を受賞するなど、その勢いはとまらない。本作の監督であるフォンテーヌ監督も、『呼吸 友情と破壊』での“周りを振り回す謎めいた高校生”を演じたルーの演技に感銘を受け、「当時、戦地に赴いた女医というのは極めて珍しい存在。そんなヒロインに必要なのは強い個性、意志を持った顔をしているだろうと考えました。ルーにはカリスマ性があり、表情には秘めた頑固さ、決意が表れていたことがキャスティングの決め手となりました」と惜しみない賛辞を贈る。これまではティーンエイジャーの女の子を演じることが多かったルーだが、本作では勇敢で医師としての信念を貫く成熟した女性を熱演し、新たな魅力を開花させる。言葉の壁があるポーランド女優たちとの撮影や、帝王切開や縫合などの手術シーンをこなすために2週間にわたるトレーニングを行うなど、ルー自身が「挑戦だった」と語るマチルド役の堂々たる存在感は必見!そんな彼女の出世作『世界にひとつの金メダル』(クリスチャン・デュゲイ監督)は、現在日本でも順次公開中で、「フランス映画祭2017」では初来日と観客賞受賞を果たすなど、次世代ヒロインとして人気が高まること間違いなし。映画界セレブを魅了してやまない知的美人、ルー・ドゥ・ラージュの今後の活躍にも注目していて。『夜明けの祈り』は8月5日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。