今年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭でグランプリを含む2冠に輝いた『さまよう小指』が9月14日(土)に公開を迎え、主演の小澤亮太、我妻三輪子、そして本作長編監督デビューを果たした新星・竹葉リサ監督が都内劇場で舞台挨拶に臨んだ。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭では斎藤工を始め、審査員に激賞され、ロッテルダム国際映画祭にも出品された本作。5歳で出会った初恋の男・涼介にフラれ続けてもアタックを続けるおブスな恋愛至上主義者の桃子は、ある日、極道に進んだ涼介の切られた小指を手に入れ、なんとそこから彼のクローンを作ってしまう。“小指”と名付けて同棲を始めるが…。小澤さんは「やっと無事、公開することが出来ました!」と晴れ晴れとした表情。昨年の酷暑の中、短期間で集中的に撮影が行われそうだが「河川敷の撮影は暑くて魚が浮いてたくらい(苦笑)。そんな中でも、みんなでひとつになって作ったし、チームワークが良かったです」とふり返る。「ダメンズを追いかけ続け、こじらせる失恋ターミネーター」と説明される桃子を演じた我妻さんは、役柄について「わりとブッ飛んでると思いますが(笑)、好きな人と一緒にいたい、好きな人をそばに置きたいという気持ちを持って、5歳のことからフラれ続けているので、クローンを作りたくなっちゃうという気持ちは分からなくもないです。やらないけど…(笑)。好きとなったら好き! 『キライ』と言われても好きなのは私と一緒かも…」と意外な共感を口にし、会場をわかせていた。もしもクローン技術があったら誰のクローンを使って何をしたいか? という問いに、竹葉監督は「会いたい人のクローンを作る」、小澤さんは「自分のクローンを作って互いに働いたり、いろんなことをしたい」と語っていたが、我妻さんはいきなり「ドラえもんがほしいです」と質問の枠を超えた想定外の回答。さらに、何がしたいかについては「一緒にいろんなところに行きたい」と桃子さながらのブッ飛んだ回答で会場を笑いに包む。小澤さんがすぐに「どこでもドアを使ったりしてということ?」と我妻さんの答えを観客のために“翻訳”。我妻さんは「そうそう」と嬉しそうにニッコリ。会場は再び笑いに包まれた。最後に竹葉監督は「時間がない撮影の中で素晴らしい役者さんたちの芝居が見られて、過酷でしたが楽しい現場でした」と改めてスタッフ、キャスト陣への感謝を口にし、これから映画を鑑賞する観客の期待を込めた拍手がわき起こった。『さまよう小指』はテアトル新宿にて公開中。