ずっと気になっていた『サッドティー』をようやく鑑賞。とても良かったのでレビュー書きました。渋谷ユーロスペースで公開中で、これから全国順次公開。オススメです。『サッドティー』残酷な恋愛が映ってた。笑える恋もイタい恋も切ない恋も映ってた。「ちゃんと好き」って、どういうこと?ポスターのキャッチコピーにもなっている、恋愛とは何? という正解の無い永遠の問いにこの映画は果敢に挑んでいる。実体の無い“恋愛というもの”をユーモラスにライトにドライに見つめる。今泉力哉監督は、どこか恋愛を冷めた目で見ているのではないか。ただ、恋愛のことを否定しているわけではない。映画に登場する恋人(恋する人)たちは欠陥はあるけど、みんな愛らしく描かれている。おそらく彼らは監督の分身であり、この魅力的なキャラクターたちは観客一人ひとりの恋する(恋してきた)姿とも重なるだろう。恋の価値観はもちろん人それぞれで、そもそも人を本当に好きになることなんてなかなかなくて、でも一瞬で恋に落ちることもあって、恋愛に正しいも間違ってるもなくて、人を好きになってしまったら、もうどうしようもなくて、でも好きになるってどういうことだっけ? と、またキャッチコピーに戻ってしまう。映画の冒頭、競歩の練習に励む男は、公園をぐるぐると何周もまわる。恋愛は永遠のループだ。恋愛、恋、恋愛、恋って何度も書いてて恥ずかしくなるが、そういう映画だからしょうがない。この手の群像劇は会話の妙はもちろんだが、気まずい間をじっくりとらえる長回しやクローズアップの連打など演出も鋭い。最強のフェードアウトと言いたくなる、あるシーンには爆笑。そして、トリプルファイヤーというバンドの音楽もとても魅力的で映画にはまっている。世代の近い監督の感性を楽しんだ。この恋愛映画、面白いです。