昨日、3月3日(日本時間)に行われた第86回アカデミー賞授賞式で、見事「作品賞」「助演女優賞」(ルピタ・ニョンゴ)「脚色賞」に輝いた『それでも夜は明ける』。アメリカの“暗部”ともいえる奴隷制度を真っ向から描き、黒人監督としては初めてアカデミー賞「作品賞」に輝いたスティーヴ・マックィーン監督と、本作で3度目となるタッグを組んでいたのが、「助演男優賞」にノミネートされていたイケメン俳優マイケル・ファスベンダーだ。ファスベンダーがセックス依存症の男を演じ、話題を呼んだ『SHAME-シェイム-』('11)も各国で絶賛され、ファスベンダーはヴェネチア国際映画祭「男優賞」を受賞した。実はこの2人、それ以前にも、マックィーン監督の“幻”の長編デビュー作ともいわれる社会派ドラマ『HUNGER/ハンガー』('08)でコンビを組んでいた。いま、その『HUNGER/ハンガー』が、映画配給会社GAGAの動画配信サービス「青山シアター」において、オンライン限定公開されている。物語の舞台は1981年、北アイルランド。メイズ刑務所には、サッチャー首相により弾圧され、政治犯としての権利を奪われたIRA(北アイルランドの独立を求める組織)の活動家たちが収監されていた。ボビー・サンズ(マイケル・ファスベンダー)を中心とした彼らは、自らの信念を貫くため、様々な抵抗を重ねるが、看守たちは残忍な扱いでこれを制圧。やがてサンズは最後の手段として、暴力に依らない抗議活動“ハンガー・ストライキ”の実行を決意するのだが…。実際にあった出来事を自ら脚本を書き映画化したマックィーン監督は、本作でカンヌ映画祭の「カメラドール」(新人監督賞)を受賞し、その後も数多くの賞に輝いた。その年の東京国際映画祭でも上映されたが、結局、日本では劇場公開されず、監督の幻のデビュー作ともいわれていた。本作で描かれる“ハンガー・ストライキ”は、ガンジーが提唱したといわれる非暴力抵抗運動の一つ。つまりは“耐える”闘いだ。主演を務めたファスベンダーは、『ダラス・バイヤーズクラブ』のマシュー・マコノヒーやジャレッド・レトを彷彿とさせるハードな減量に挑み、観る者が目を背けたくなるほどの壮絶な演技を披露している。『それでも夜は明ける』でも非道な奴隷主を熱演していたが、それを越えるかのような役への没頭ぶりに注目だ。今回、この幻の未公開作には映画ファンから熱い要望があり、アカデミー賞に合わせて限定公開が実現。動画配信サービス「青山シアター」は、インターネット環境が利用可能なパソコンや、スマートフォン、タブレット端末で楽しむことができる。『HUNGER/ハンガー』は3月18日(火)まで「青山シアター」にて公開中。■上映価格:1,000円(税別)■視聴方法:「青山シアター」会員登録(無料)の上、作品ページのレンタルボタンをクリックしてコンテンツを購入。購入後72間以内であれば、何度でも視聴可能。
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