『悪いやつら』鑑賞。何なんだろう、この男は?狡賢くて、汚くて、酒癖悪くて、愛想は良くて、平気で人を裏切って、ほんとどうしようもない奴。なのに、憎み切れない。演じるのはチェ・ミンシク。『悪魔を見た』のあの殺人鬼を超えるキャラクターはもう無理だと思っていたのに。。また現れた、とんでもない奴が。ただ今回の男は弱い。人を殺さない。(殺せない)でも、のし上がる。人脈とコネを巧みに利用し、計算高く、饒舌で。この男の処世術は、ある意味、困難な時代を生きる私たちの手本になったりしてw『グッドフェローズ』をリスペクトする弱冠33歳のユン・ジョンビン監督。『悪いやつら』もまさに非情な裏社会のドラマ、さんざん痛めつけ合う報復合戦なのに、殺しは描かない。これは新鮮に感じた。『アウトレイジ』よろしく、韓国映画らしい残虐な暴力まみれのマフィア抗争劇かと思いきや、この映画の趣きは少し異なる。滑稽で、情けなくて、どこか物哀しくて。人間くさい男たちが本作の魅力。ミンシク、ハ・ジョンウはもちろん、子分や検事など脇のキャラも濃い!韓国映画の面白さは、登場人物のキャラの強さだと改めて思う。『グエムル』『母なる証明』『チェイサー』『息もできない』『悪魔を見た』『哀しき獣』どの作品にもいるんですよ、忘れられないやつらが。