池松壮亮主演、石井裕也監督・脚本で、平野啓一郎原作の傑作小説を映画化した『本心』から、物語の全貌に近づく最新ロング予告が解禁となった。
朔也(池松壮亮)は、母・秋子(田中裕子)と2人でつつましい生活を送るごく普通の青年。しかしある日、「大事な話があるの」と言い残して急逝した秋子が、実は“自由死”を選んでいたことを知ってしまう。
幸せそうに見えた母がなぜ自ら死を望んだのか…母の本心を探るため、朔也は不安を抱えながらも、AIに集約させ人格を形成するVF(ヴァーチャル・フィギュア)を利用し、仮想空間に母を“蘇らせる”選択をする。
解禁された映像では、生前の秋子の親友・三好彩花(三吉彩花)の協力もあり、他愛もない穏やかな日常を取り戻そうとしていく朔也が、次第に母の“隠された一面”を目の当たりにしていく様子、そして母だけでなく自分自身の本心すらも見失っていく姿が映し出されていく。
「世界は僕を置き去りにして進んでいく。怖かった」――変容していく社会で、もがき葛藤する朔也を追い詰める登場人物たち。
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うまく生きようとするも時代に飲み込まれていく幼なじみ・岸谷(水上恒司)の心の叫びや、朔也に無邪気で不敵な笑みを向ける、人気アバターデザイナーのイフィー(仲野太賀)。技術者の野崎(妻夫木聡)がAIを駆使して作り上げた、VFの中尾(綾野剛)は生身の人間と見紛う姿で現れ、自分は4年前に亡くなっている事実を明かし、朔也を動揺させる。
さらには、VFゴーグルを装着した朔也の「好きなんです」の言葉に、三好が怪訝な表情を浮かべ「誰…?」と言葉を放つシーンも。テクノロジーは、人間の何を変えてしまうのか。会話の奥に潜む、それぞれの“本心”が気にならずにはいられない映像となっている。
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同名の原作小説は2019年に新聞連載が開始され、2021年に出版。当時は2040年代を舞台にした“未来の物語”として描かれていたが、現実では想像を超える速度でテクノロジーが発展。映画の舞台設定も合わせて「今から地続きの少し先の将来(物語の始まりは2025年)」へと大幅に前倒しされている。
『本心』は11月8日(金)より全国にて公開。