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【インタビュー】河合優実、過酷な現実を生きた役へのアプローチ「これまでとは違ったものに」

生傷が広がっていくような壮絶な役どころを、一人の人物として寄り添い、文字通り「生きて」見せた河合優実。舞台裏と共に、表現者としての信念や葛藤を語っていただいた。

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河合優実/photo:Jumpei Yamada
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『由宇子の天秤』『サマーフィルムにのって』『PLAN 75』『ある男』『少女は卒業しない』等々、数々の力作で存在感を発揮してきた河合優実。

2024年も『四月になれば彼女は』やドラマ「不適切にもほどがある!」「RoOT / ルート」、アニメ映画『ルックバック』、第77回カンヌ国際映画祭の監督週間に出品された『ナミビアの砂漠』ほか、話題作がひしめく彼女が、実在した人物を熱演した主演映画『あんのこと』が劇場公開中だ。

幼い頃から母親に虐待され、売春を強要され、その過程で薬物依存症になってしまった21歳の杏(河合優実)。人情派の刑事・多々羅(佐藤二朗)とその友人でジャーナリストの桐野(稲垣吾郎)と出会い、どん底の人生をやり直そうと奮闘していく。

生傷が広がっていくような壮絶な役どころを、一人の人物として寄り添い、文字通り「生きて」見せた河合さん。舞台裏と共に、表現者としての信念や葛藤を語っていただいた。

映画を通して「世の中がよくなっていけば」


――本作は新聞記事に掲載された実在の人物と事件をベースにした物語です。入江悠監督と共に記者の方にも入念な取材を経たうえで臨まれたと伺いました。公開を控えた今のお気持ちはいかがですか?

何を言えばいいんだろうというくらい、怖いです。撮影中に自分自身が「つらい」と感じることはあまりなく、ただただ「杏を生きる。自分のところに来たからにはもう大丈夫だよ」という気持ちで臨むことに集中していたのですが、杏として追い込まれるというより彼女のことを映画にして届けることが重くのしかかっている部分があります。正直なところを言うと、どう捉えて自分が表に立ったらいいかまだ全部は整理がついていません。

ただそんななかで、雑誌社で働いている高校の同級生がこの前本作の取材に来てくれて「この映画は絶対届けなきゃいけない」と言ってくれました。そして、こうやってインタビューをしてくださる皆さんの温度感で「ちゃんと受け取ってくれている」とも感じます。

私自身も「作ったからには絶対にたくさんの人々に届けなきゃいけない」とは強く思っているので、そのことを自分に言い聞かせ、何とか奮い立たせて頑張って世に送り出そうとはしています。この作品をある種媒介にして、もう少し世の中がよくなっていけばいいなという感覚です。もうそれしか目指すところはないと思いますし、今まで出演させて頂いた全部の映画にたいしてもそうかもしれません。

――『あんのこと』にはDV被害者の方等が暮らすシェルターマンションや薬物依存症からの更生を目指した自助会等々、各々の“再生”に向けた現実社会の事柄も描かれます。映画を通して「知る」「理解を深める」という効能もありますね。

多々羅(佐藤二朗)という警察の中にいる人が、「薬物で捕まってしまった人を更生させてあげたい」という個人的な想いで自主的に作ったグループという点には驚かされました。「助けたい」「よりよい環境に連れて行ってあげたい」という人の想いで作られている組織の存在を、私は全然知りませんでした。「自分たちで助け合う」という気持ちがないとなかなかその状態から抜けだせないし、逆にいうとセーフティーネットがないから共助していかないとダメな状況なのだろうな、とも言うことがわかりました。


《text:SYO/photo:Jumpei Yamada》

物書き SYO

1987年福井県生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション、映画WEBメディアでの勤務を経て、2020年に独立。映画・アニメ・ドラマを中心に、小説・漫画・音楽・ゲームなどエンタメ系全般のインタビュー、レビュー、コラム等を各メディアにて執筆。並行して個人の創作活動も行う。

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