パク・チャヌク監督最新作『別れる決心』より、吹替版の本編映像が解禁された。
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2月17日より全国公開されるやいなや、すでにSNSなどでも話題沸騰の本作。「先が読めなくて、目が離せない」「何気ないセリフや小道具に、見終わった後も余韻が残る」「もどかしくて、何度も観たいと思わせる」など、絶賛の声が上がっている。
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韓国では公開後に脚本集がベストセラー1位を獲得するなど異例の大ヒットとなった本作だが、その魅力のひとつでもあるのが一癖も二癖もあるセリフだ。
今回、パク・チャヌク監督はエロスもバイオレンスも封印して大人のためのラブロマンスに挑んだ。刑事と容疑者という、惹かれあってはならないもの同士の禁断の愛を描き、過激なラブシーンは一切ないものの、言葉の壁がもどかしさを掻き立て、なんともロマンティックでエロティックな作品となった。
パク・チャヌク監督が新境地を見せつけることとなった本作は、一見何気ない台詞やディティールに多数の伏線が張り巡らされており、見るたびに新しい謎が増えるとリピーターが続出している。
5回も鑑賞したほど本作に大ハマりしたという「BTS」のRMは「品はどこから来ると思う?誇りからですよ」というセリフが特にお気に入りだと明かしているが、これは清廉潔白なへジュン(パク・ヘイル)がソレ(タン・ウェイ)に「完全に崩壊しました」と別れを切り出す際に投げかけたセリフだ。
この度、よりセリフを堪能することができる吹替版でこのRMのお気に入りのセリフが詰まったシーンの本編映像が解禁。諏訪部順一と沢城みゆきが声を担当した日本語吹替版では、セリフによる2人のやりとりがより艶めかしく切実に迫ってくる。
ソレは「“愛している”と言った瞬間、あなたの愛は終わり、その愛が終わった瞬間、私の愛が始まった」という名台詞も残しているが、監督が「“愛している”と決して言わないラブストーリーを作りたかった」というように、へジュンはソレに“愛している”と告げたことは一度もない。
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しかし、ターコイズブルーのドレスが緑色に見えたり、波の模様が山の模様に見えたりと見え方の変化を詳細までこだわり抜いた本作の小道具のように、セリフもまた、受け取り方によって変化する。ある言葉が別れを意味することもあれば、愛を意味することもあるのだ。
さらに、ソレもへジュンに対して独特な言葉使いで愛を伝えているのだが、その一つが「あなたの未解決事件になりたい」という本作のキーでもあるセリフ。なんでも解決をしないと気が済まない性格のへジュンに「未解決事件」とはまた意味深だ。
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また冒頭、夫を亡くしたのに悲しみの反応が薄いソレに対して、へジュンの後輩刑事が疑いの目を向けた際、へジュンは「悲しみが波のように押し寄せる人や、水にインクが広がるようにゆっくり染まる人もいる」と詩的な返答をしている。
ソレのことを表したこのセリフのように、本作も見れば見るほどに印象が変わり、時間が経つほどに謎が深まっていく。インクのように染み渡り、観客の心を掴んで離さない。一癖も二癖もあるセリフや小道具などにも注目して、何度でも楽しみたい作品だ。
『別れる決心』は全国にて公開中。