Twitterに投稿された実話を基に、気鋭スタジオ「A24」が映画化した『Zola ゾラ』。監督のジャニクサ・ブラヴォーは、本作は「バイオレントでギラギラとしたエネルギーと、友情・人種・仕事についての鋭い考察が混ざり合い、インターネット時代を反映しながらも、生き生きとした刺激的な物語」と語っており、まさにSNS時代の青春ロードムービーといえる。
今回は、「『クルーレス』『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』からも影響を受けた」と語るジャニクサ監督から、本作の注目ポイントの1つでもあるファッションをテーマに語ってもらった。
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ゾラ(テイラー・ペイジ)とステファニ(ライリー・キーオ)、それぞれのキャラクターが際立つ“Y2K”(2000年前後の世代)を意識したファッションも注目ポイントの1つである本作。
ジャニクサ監督は「私の大好きな映画『クルーレス』(95年)は、衣裳がポップでキャンディみたいなイメージを受ける作品でした。だから『Zola ゾラ』もキャラクターをカートゥーンのようなマンガ的な形で描きながらユニフォームのような衣裳を着せることで、ハロウィンでコスプレできるような作品になったのではないかと思います」と言う。
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そして「衣裳は、キャラクターがどんな人物であるのかをのぞき見できるような窓であるべきだと思います。セリフがなくても<こういうキャラクターなんだ>と観客に分かってもらわなくてはいけないから」と断言し、ファッションが果たす劇中の大事な役割を語る。
「例えば、ライリーが最初に着ているピンクの衣裳は『ディオール(Dior)』なのですが、バブルガムを想起させるような“食べちゃいたい”と思わせるルック」「ステファニはピンクで、蛇を意識した衣裳を着せています」とも解説。
加えて「実は今回のスタッフに『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』等を観るように言っていて、皆ピンクの照明が印象的だったと話していましたが、『Zola ゾラ』ではピンクの照明を使わないと決めていたので、それらの作品へのオマージュとして洋服でピンクを取り入れました」「ピンクという色は、非常に甘く、ナイーブであり同時に幼さも感じさせる、バービー人形のような部分がありステファニのキャラクターにピッタリだと思ったので」とふり返った。
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対してゾラは、『オズの魔法使』のドロシーを意識したと言う。そのため「黄色のタータンチェックや、他にはTwitterの青を着せています」と語り、結果的に「ゾラに感情移入してもらえるのではないかと思います」とファッションによって、観客に伝えたいメッセージを明確に使い分けたことを明かした。
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最後、同じく「A24」作品であり、フロリダを舞台にした女性が主人公の映画『スプリング・ブレイカーズ』『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』に関しても言及。「そういえば、男性が主人公だけど、『ムーンライト』や『WAVES/ウェイブス』もフロリダを舞台にした作品だから<A24>じゃなくて<フロリダ24>に改名した方がいいかもね」と笑いながら語る。
「挙げた2作品はフロリダという共通点もあるけど、映画作りに自由があったという点も共通していると思います。どの作品も反骨心があるし、作り手のクリエイティビティを大事にした映画作りがされていると思います。どのA24作品も、作り手の個性がしっかりと反映されていて、制作時にクリエイティブの自由があったんだと感じられる作品だと思います」と締めくくった。
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人気ブランド「ミュウミュウ(miu miu)」の女性監督シリーズにも抜擢され、ジャニクサは各界から注目を集める気鋭の黒人女性監督の1人となっている。
『Zola ゾラ』は8月26日(金)より新宿ピカデリー、渋谷ホワイトシネクイントほか全国にて公開。