『花様年華』『恋する惑星』の巨匠ウォン・カーウァイがプロデュースを熱望し、サンダンス映画祭でワールドシネマドラマティック部門で審査員特別賞、先日の第25回ファンタジア国際映画祭アジア映画部門で観客賞を受賞した『プアン/友だちと呼ばせて』。先日4年ぶりの来日を果たしたバズ・プーンピリヤ監督のインタビューコメントが到着した。
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バズ・プーンピリヤ監督といえば、前作『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』もスタイリッシュな映像や、その美しさが話題となっていた。今回はウォン・カーウァイプロデュースということもあり、より一層その点は際立っていた。
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そんなプーンピリヤ監督に一番お気に入りのシーンについて聞いてみると、「個人的にはアリス(1人目の元カノ)とウードが再会して、ダンスをするシーンです。これは私の狙い通りに撮れました」と言う。
「観客からもとても好評でした。なんてことないフードコートで撮っているので特に素敵な場所でもないんです。でも、撮影監督、衣装さん、小道具さん、照明さん、脚本もよかった、そして役者の素晴らしい演技のおかげで、あんなに素敵な瞬間が生まれました」。
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また、予想外に面白くなったシーンについても聞いてみると「旅の途中でバーに寄ってコブラ酒を飲むシーンです。あのシーンは特に重みのあるシーンではなかったのですが、こちらもスタッフの努力によりとても魅力的なシーンになりました」という。プーンピリヤ監督も挙げているこのバーのシーンは、ボス役を演じたトー・タナポップも最も撮影で愉しかったシーンとして挙げており、現場の空気の良さを感じさせる。
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本作は主役のボス役のトー・タナポップとウード役のアイス・ナッタラットのストイックな増量・減量に関しても話題となっている。トーは15kgの増量、アイスは17kgの減量をして役に臨んだ。この役作りに関しても監督は、「実は何キロ痩せて欲しいとか具体的な数字は伝えていません。ただ、脚本には身体的に変化があるとだけ記載があり、実際のガン患者やロイドさん(監督の友人で、病により余命宣告を受けていた)と話してアイスが自分で考えました」と明かす。
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さらに増量をしたというトーについては「実はトーには増量してほしいとは言っていないんです。大人になった現代のパートと、過去の回想パートと違う雰囲気を見せないといけない。大人っぽさを身体的に見せるにはどうすべきかを考えて増量したそうです。実際の彼は背が高くてとっても痩せてるんです」と、彼らのプロ意識の高さを打ち明けてくれた。
『プアン/友だちと呼ばせて』は新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、渋谷シネクイントほか全国にて公開中。