2022年の話題作の1つ『THE BATMANーザ・バットマンー』は、クリストファー・ノーラン監督による『ダークナイト』トリロジー以来、世界中の映画ファンが待ちわびたバットマンの単独映画。
ノーラン監督の『TENET テネット』に続き、新たなブルース・ウェインとして大作に抜擢されたのはロバート・パティンソン。このキャスティングが決定したのは奇しくも『TENET テネット』撮影初日であったことが判明、ノーラン監督と撮影を進めながら、バットマン役の準備をするという奇妙な経験をしたことを明かした。
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ロバートは「『ザ・バットマン』のスクリーンテストのために、『TENET テネット』の撮影を1日休まねばなりませんでした。それはすごく極秘のことだったのに、翌日に撮影に戻ったら、クリス(ノーラン監督)が『スクリーンテストはどうだった?』と聞いてきたんです。僕は『なぜ知っているの? これは最高にトップ・シークレットなはずなのに!』と思いましたよ(笑)」と語る。
「その後、クリスとは『ザ・バットマン』について一切話さなかったけど、撮影の最終日になってまた、『新作では、マントをどんな素材で作っているのか?』と聞いてきました。彼はマントを軽くするために以前どんな素材で作ったのかを教えてくれたんです」とノーランとのやりとりをふり返っている。
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バットマンのスタイルを形作る重要な“バットスーツ”への並々ならぬこだわりは、ノーランも気になったのだろう。今回、ロバート自身もスーツについては、アクションシーンを作り上げるための動きやすさや、自身が何者であるかを表現するためのアイディアを提案しながらデザイナーと一緒に作りあげたという。
ロバートは、ノーラン監督と本作のマット・リーヴス監督との仕事をへて2人の異なるアプローチの仕方をふり返る。ノーラン監督の場合は、「クリスには、500もの稼働パートのある巨大なアクションシーンを、世界中で最も簡単なことのようにこなしてしまうクレイジーな能力があります。それを2テイクくらいやって、『いいぞ。素晴らしい!』とオーケーを出してしまうんです。それがたとえ10機のヘリコプターが飛んでいて、爆弾が爆発したり、いろんなことが起きて、みんなが逆向きに走ったり、ものすごい数のエキストラたちが逆に走っても、そのテイクの終わりには、『いいね。ナイスだ。次に行こう』と言って、それで終わり。クリスは、前段階の準備にすべてのエネルギーを注ぐ感じ」だという。
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一方、「マットはというと、かなり独特です。シーン内のディテールを見て、多くのテイクをやります。とても執念深いんです(笑)。小さいシーンでも多くのテイクを繰り返すから、『きっと自分はうまくやれていない』と最初は考えてしまいました。でもそれからひと月くらいして、彼といくつものテイクを見直して、『マットが求めているものは何なのか、各テイクの間のちょっとした違いから探してみよう』と考えるようになり、彼の方向性をやっと理解し始めました。そして、奇妙に満足するんですよ」と言う。
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「マットとクリスは完全に正反対の監督だけど、2人とも最高に楽しい撮影でした」とロバートは続ける。さらに、「最初のショットから、これはとんでもなくいままでと違うぞと感じた。マットがなにかとても新しくて、かつて観たことのないものを見つけたことは、ちょっとクレイジーですよね。これが過去にも『バットマン』の映画が作られてきたけど11本目の映画であることを考えると、とても驚くべきことだと思います」と、過去のシリーズのどれとも異なり、新鮮な驚きが詰まっていることを示唆している。
世界中の名匠たちからの信頼が厚く、話題に事欠かない俳優となったロバートが、本作ではマット監督とどのような化学変化を生んだのか、期待せずにはいられない。
『THE BATMANーザ・バットマンー』は3月11日(金)より全国にて公開。