『美女と野獣』「ダウントン・アビー」のダン・スティーヴンスが、完璧な恋をプログラムされた高性能AIアンドロイドを演じる異色のラブストーリー『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』。いまハリウッドで注目を集めるマリア・シュラダー監督が、これまで幾度となく描かれてきた“アンドロイドと人間の恋”について語るインタビューがシネマカフェにて解禁となった。
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超正統派ユダヤ教徒のコミュニティを飛び出し、自由を取り戻した女性を描き、プライムタイム・エミー賞を受賞した「アンオーソドックス」(20/Netflixにて配信中)や、映画プロデューサーの権力を振りかざし、性暴力を繰り返したハーベイ・ワインスタインの行状を暴く『She Said』(原題/22年公開予定)も手掛けるなど、最注目監督のひとりでもあるシュラダー監督が本作で描くのは、これまで多くの作家によって描かれてきた“アンドロイドと人間の恋”。
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「本作のシンプルなストーリーは、ガール・ミーツ・ボーイなだけでなく“ガール・ミーツ・ロボットボーイ”なのです」と監督は言う。「多くの場合、アンドロイドの物語は“魅惑”と“ホラー”の間を彷徨っています。人間が神になりきり、全て言いなりになる下僕を創り出したものの、やがて制御不可能になり、自分たちより秀でることを恐れることになっていくのが常ですよね」。
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「古くは中世のゴーレム(モンスター)から、美しい女性の姿をもったAIと人間のプログラマーの心理戦を描いたSFスリラー『エクス・マキナ』(15)まで、多くの物語の最期には破壊と死が伴ってきました」と明かすが、本作におけるアンドロイドのトムの任務は“恋の相手を幸せにすること”。「個々の人間に対して、最高の人生のパートナーとして個別にプログラムされた彼の役割とは、その対象となる人間の孤独を追い払い、信頼と愛の欲求を満たすこと」だと語る。
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「アルマはこのコンセプトをひどく嫌っていますが、実際“彼”は販売されることも目的とされています。だって、ロボットは航空路や信号機の監視をしたり、芝生を刈ったり、セキュリティシステムを管理したりするためにありますよね?」と監督。「しかしアルマはロマンチックな恋愛、感情、喜び、悲しみーこれらは人間だけが持ち合わせているものとして、いわゆる自由意志の原理を守ろうとします。彼女にとって、トムは自分のニーズを満たしてくれる機械に過ぎませんでした。真のパートナーなど程遠く、空虚な錯覚でしかないと考えます」と続ける。
だが、やがてアルマはトムと恋に落ちてしまい、彼女は人間の欲望のパラドックスという、解決し難い問題に直面することになる。
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「いわゆる“完璧なパートナー”が欲しいという話はよく聞くが、完璧なパートナーとは一体どんなものなのか? それは、我々のニーズと願いを正確に分析できるようなパートナーのことなのか? そして、これが愛から来る行動ではなく、単にプログラミングの結果だと知ることは、何を意味するのか? 彼女は自分の信念に反し、欲望を追ってしまい、理性と感情が矛盾して絡み合います。そして、少なくともしばらくの間、彼女は本当に幸せであるかのように見えました」。
「であれば、やはり『愛』と『非常に複雑なアルゴリズム』の違いは何なのでしょうか。伝統的な恋愛関係においても、我々はパートナーのニーズに合わせて自分を調整するではありませんか。人間関係において、何が『本当』なのか、そしてどこまでが学習され、調整され、そしてプログラムされたものなのでしょうか」と、監督は問いかける。やがてアルマはある選択をすることになるのだが…。その選択から、本作の奥深さを知ることになりそうだ。
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『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』は2022年1月14日(金)より新宿ピカデリー、Bunkamura ル・シネマほか全国にて公開。