「SSFF&ASIA」はアメリカのアカデミー賞公認の映画祭。第23回目となった2021年は、幅広いジャンルの企業や団体とタッグを組み、バラエティに富んだショートフィルムをオンライン会場と5か所のリアル会場で開催した。世界約120の国と地域から集まった6000本以上の中から、この日、グランプリなど各賞が発表された。「ジョージ・ルーカス アワード」(グランプリ)には、ラファエル・マヌエル監督による『フィリピニャーナ』が受賞となった。
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齊藤さんは、バーティカルシアター部門のプレゼンターとして登場。スマートフォンでの動画視聴が当たり前になった今、映画業界における、バーティカル(縦型)な映像作品の可能性を見据え、設立された部門において、西山将貴監督の『スマホラー!』が最優秀賞を受賞した。齊藤さんは、縦型という撮り方について、「昭和のアナログ人間なので縦型をどう捉えるかと思ったのですが、日常は横より縦型のほうが身近な画角なんだな、と作品を拝見して気づかされました」と語る。さらに、「スマホで拝見していると、ブラックアウトになる瞬間、自分が写り込むんですね。これまで味わえなくて、ホラーという作品性も含め、非常に近い怖さがあり、スマートフォンならではの楽しみ方だと思いました」と、作品の特性にぴったりだったと評していた。
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12人の映像監督による、12本の短編映像を作る新プロジェクト「DIVOC-12」にて、上田慎一郎監督の『ユメミの半生』に主演した松本さん。高精細の大型のディスプレイ背景が実際のカメラの動きと連動することで、その空間の中にいるような映像を撮影できるシステムを使っての撮影は、国内初となった。バーチャルセットでの演技について、松本さんは、「毎シーン、背景の映像が変わっていくので、同じ場所だけど衣装を着替えて戻るたびに全然雰囲気が変わるので、毎回感動していました。日本で初めてのプロジェクトなので、全員が新鮮な気持ちで楽しく挑めました」と、ワクワクだったと明かした。なお、作品は今秋全国公開予定とのこと。

さらに、池田さんはスマートフォン映画作品部門の審査員を務めた。「ショートフィルムですけど、時間の概念を揺るがすというか、短いからこそ、解き放たれていて本当に衝撃を受けました」と語る。新たな発見について、池田さんは「応募点数が本当に多かったのがとてもうれしい。こうした部門を設けることによって、自分も映画を撮りたいと、取り組みやすくなることが非常に喜ばしいことだと思いました。私も挑戦してみたいです」と笑顔でスマートフォンでの作品撮影に意欲を見せていた。
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アワードセレモニーには、そのほか、阿部純子、藤真利子、真利子哲也監督、河瀬直美監督、上田慎一郎監督、内田英治監督、國村隼、筒井真理子、篠原ともえ、松田美由紀、丸山ゴンザレス、LiLiCo(フェスティバルアンバサダー)、別所哲也(SSFF&ASIA代表)らが出席した。