フランス西部の都市・アングレーム。弁護士のローラには、眼鏡士のブノワと解体業者のピエール、ちょっと変わった2人の兄がいる。三兄弟は、死別した両親の墓参りで毎月一度は集まることが習慣になっている。
ある日、ブノワの3度目の結婚式、大遅刻をしてきたピエールの失礼なスピーチが原因で兄弟喧嘩が始まる。そんな中、離婚調停の依頼人だったゾエールと恋をするローラだったが、病院である事実を告げられる。ピエールは深刻な仕事のトラブルを抱え、ブノワは心の準備なしに父親になることに…。
ルーヴ監督の4作目となる本作は、家族だからこそぶつかり、分かり合えることがある、そんな世界共通の家族“あるある”を描く、人間同士の付き合いが疎遠になりがちないま、改めて近くにいる人の存在の尊さを感じられる物語。
作家であり脚本家のダヴィッド・フェンキノスと再タッグを組み、人々の日常を精妙かつユーモラスに描いて観る者の共感を誘うと同時に、プチ・ブル(中産階級)たちの生活を捉えるカメラは、明確に階層化された皮肉なフランス社会の明暗をも浮き上がらせる。
主人公で弁護士のローラを演じるのは、『8人の女たち』『スイミング・プール』などフランソワ・オゾン監督のミューズとして輝かしいキャリアを築いたリュディヴィーヌ・サニエ。個性的な兄たちを母のように世話する、常識人の末っ子を等身大のキュートさで演じている。

そんな兄たち、職人気質で不器用な次男・ピエールを、『ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走』『マダム・ハイド』のジョゼ・ガルシア。ロマンチストで神経質な眼鏡士である長男・ブノワは、ルーヴ監督が務め、ほかにも、ローラの恋人役でラムジー・ベディア、ブノワの妻役でポーリーヌ・クレマンらが参加している。

『ローラとふたりの兄』は12月10日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。