本日10月11日は、国連が採択する「国際ガールズ・デー」。エンターテイメント業界でも、ジェンダー・ギャップの問題などの課題に対して、女性自らが率先して声をあげる出来事も少なくない。この日に合わせ、自分なりの方法で社会や制圧と向き合っていく少女たちの姿を描くシスターフッドの物語の幕開けを告げる本作の本編冒頭映像が解禁された。
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本作の舞台は1990年代、アルジェリア。ファッションデザイナーを夢見る大学生のネジュマ(リナ・クードリ)は、親元を離れ大学寮で暮らしている。夜はルームメイトで親友でもあるワシラ(シリン・ブティラ)とナイトクラブに繰り出すのが楽しみのひとつ。その夜もネジュマとワシラは、寮の部屋からこっそり抜け出し、ナイトクラブに向かうために待たせていた白タクの元へと走っていく。
ふたりはタクシーに乗るや上機嫌にゴージャスなドレスに着替え始めるが、運転手は「この車はキャバレーじゃないぞ」と完全に呆れた様子。ネジュマがお気に入りの曲をかけながら見るアルジェの街は、いたるところがネオンで照らされ、車や人々が行き交い、眠らない街の賑わいを感じさせる一方で、ラジオからは武装グループによる襲撃事件を伝えるニュースが流れ、イスラム教のモスクでは大勢の人が礼拝をしている様子など、この街を覆う現実も伝わってくる。
そして突然、銃を携えた男たちによる検問に気が付いた運転手が「音楽を消せ」と告げると、ふたりは持っていた布で急いで身体を覆った――。
ムニア・メドゥール監督は、「“あの時代を描きたい”というのが出発点だった。海外では1990年代のテロ映像を目にすることは多いけど、実際の生活は知られてない。だからこの映画ではアルジェリア社会の内側を見せたかった」と言う。「その中心は少女たちの小さな世界、繭のように心地のいい女性たちの世界。彼女たちを中心に当時の闘いを描きたかった」と本作への想いを語っている。
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ネジュマがタクシーのカセットデッキにかけた曲は、1989年に発表され、日本でもヒットしたテクノトロニックの「ゲット・アップ/Get Up (Before The Night Is Over)」だ。監督は「脚本を書いている時から、音楽は1990年代のものを使うと決めていた。アルジェリアの若者たちは、世界中のほかの国の若者と同じ音楽を聴いていた。彼らと同じヒット曲を聴いて踊り、お祭り騒ぎをしてた」と自身のアルジェリア時代の思い出を語る。
物語が進むにつれ彼女たちを巡る抑圧が日に日に増していく中でも、ネジュマとワシラは輸入品であふれる布地店でお気に入りの服を買う。寮の部屋には好きなアーティストのポスターが並び、自由に恋もする。ほかの国の若者たちと同じように青春を謳歌しているのだ。そんな彼女たちを巡る状況を知ることができる、躍動感あふれるオープニングシーンとなっている。
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また、ネジュマたちのファッションショーを行うという“選択”にちなみ、日本の多くの選択を前にしている方たちに向け<自分らしく生きるための選択>をするための背中を押す一助になることを願い、本作公式noteにおいて“選択”をテーマにしたエッセイ連載企画「マイ・チョイス-わたしがした、自分らしく生きるための選択」が本日始動。
筆者には、企画に賛同した各界のトップランナーとして活躍する方々が多数参加。第1弾として、2015年に「ナイルパーチの女子会」で第28回山本周五郎賞を受賞した小説家の柚木麻子氏によるエッセイ「『守りたい』の殺意」が掲載中。今後も伊藤詩織(ジャーナリスト)、北原みのり(作家・ラブピースクラブ代表)、治部れんげ(ジャーナリスト)ら10名以上による、“選択”にまつわるエッセイを掲載していくという。
『パピチャ 未来へのランウェイ』は10月30日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開。