厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、激務の中で仕事への理想も失い無力な自分に思い悩んでいた。ある日、陳情に来たNPO団体から、非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストを持ち込まれ追及を受けた鷹野は、そのリストの中から自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、その死の理由を調べ始めるが――。
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原作は、いじめや非正規雇用など、自らの経験をテーマに短歌を発表し続けた萩原氏の初の歌集にして遺作となった「滑走路」。この295首は、作者と同じように苦悩を抱える人へのエールとして多くの共感を呼び、初版500部、自費出版がメインの歌集において累計8刷30,500部と異例のヒットを記録。
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今回の映画では、劇場アニメーション『ジョゼと虎と魚たち』でも注目の桑村さや香が脚本を、西谷弘監督作品などで名助監督として活躍する大庭功睦が監督を務め、「滑走路」から着想を得てオリジナルストーリーとして映像化。非正規、いじめ、過労、キャリア、自死、家族――現代を生きる若い世代が抱える不安や葛藤、それでもなお希望を求めてもがき生きる姿を鮮烈に映し出していく。
本作の主演を務めるのは、ヒロインを演じる舞台「リムジン」の上演を控える水川あさみ。30代後半に差し掛かり、将来への不安を抱える切り絵作家・翠を演じる。「心に響くエールをくれる」と萩原氏の短歌を語った水川さんは、「映画では、それぞれの人生が交差し行き交いながら葛藤し決断し立ち止まり、前に進む姿は誰しもの背中を押してくれる作品になったのではないかと思っています」と自信を見せる。
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また、非正規雇用者の自殺問題に向き合いつつ、自らも過重労働に苛まれる厚生労働省の若手官僚・鷹野役に、連続テレビ小説「ひよっこ」、『チア男子!!』、『劇場』の浅香航大。幼なじみをかばったことでいじめの標的にされてしまう中学2年生の学級委員長役を、もうすぐ公開予定の『燃えよ剣』では田村銀之助役で出演している寄川歌太が演じる。
浅香さんは「僕が演じた鷹野は、厚生労働省に勤める若手エリート官僚で、官僚の仕事は、想像を超える仕事量と情報量、責任感などに圧倒されましたが、鷹野の苦悩や葛藤を演じるうえで重要なピースとなりました。撮影に入る前の打ち合わせから印象的に感じた大庭監督の熱量の高さと、キャスト・スタッフ共に高い緊張感のなか撮影を終えた今、仕上がりをとても楽しみにしています」と現在編集作業中だという本作の完成に期待を寄せる。
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そして寄川さんは「全ての撮影を終え、役から自分自身に戻った瞬間、涙が止まりませんでした。沢山の方に支えていただき、僕にとって大きな一歩となりました。是非観て感じていただきたいです」と、とても大切な一作となったと語っている。
『滑走路』は秋、全国にて公開予定。