爽やかな風がそよぎ新緑の香りが運ばれてくると、気持ちまでゆれ動いて、何か新しいことをはじめたい! どこか旅に出たい! と心がさわさわするものです。そんなふらりと旅に出たくなるこの季節、フランスのパリを舞台にした素敵な映画を2本セレクトしました。ひとつは現在公開中のフランス映画『間奏曲はパリで』。もうひとつは4月25日(土)公開の日本映画『王妃の館』です。『間奏曲はパリで』の旅する主人公はブリジット(イザベル・ユペール)。相思相愛で結ばれたもののいつの間にか夫婦生活はマンネリ、そんな毎日に刺激を求めて彼女はフランスの北東ノルマンディからパリへプチ旅行に。夫に小さな嘘をついてやって来たパリでの目的はある男性と再会することなんですが、何はともあれ久々のパリは華やかで美しくて、ひとりでセーヌ川クルーズしちゃったり。おひとりさまのパリもいいなぁと思わせてくれます。ノートルダム大聖堂、エッフェル塔、ルーヴル美術館やオルセー美術館などセーヌ川から世界遺産を眺めるシーンはとても優雅、一度はあの船に乗ってみたいと誰もが思うシーンです。セーヌ川クルーズは『王妃の館』にも登場します。こちらの映画の面白さは旅行会社がダブルブッキングをしてしまったことで巻き起こるドタバタ騒動。旅行代金が200万円のポジツアー、29万円のネガツアー、宿泊先は同じなのに2つのツアーの観光場所が異なっているところもみどころです。セーヌ川クルーズはもちろんポジツアーの日程に組まれているリッチプラン。豪華な食事をしながらのクルーズはほんとに贅沢です。2つのツアー客が宿泊するホテルはマレ地区、ヴォージュ広場前に位置するルイ王朝時代から続く歴史ある高級ホテル「ル・パヴィヨン・ドゥ・ラ・レーヌ」。主人公の作家・北白川右京(水谷豊)がこのホテルで執筆したように、原作者の浅田次郎氏も実際にこのホテルに宿泊して「王妃の館」を書き上げたそうです。ますます泊まってみたくなります。セーヌ川やホテル以外にもこの2つの映画にはルーヴル美術館、オルセー美術館、ヴェルサイユ宮殿…といったザ・観光名所が次から次へと登場しますが、つい目を留めてしまうのは意外にも何気ないパリの景色だったりします。何気ないけれど絵になる景色──『間奏曲はパリで』のブリジットが旅先で出会った男性ジェスパーと夕暮れ時に歩くチュイルリー公園はパリ市内最古の庭園、コンコルド広場の大観覧車が背景に見える絶景です。公園といえば『王妃の館』のヴォージュ広場もパリで一番美しいと言われている場所。広場を囲むように立ち並ぶ歴史あるレンガの建築とのコントラストにうっとりしてしまいます。どこを歩いても見てもまるで絵画なパリですが、歩き疲れたらお腹も空きます。映画に登場するカフェやレストランも行ってみたいですよね。『間奏曲はパリで』からはモンマルトルの丘の麓にある老舗のナイトスポット「ラ・ヌーヴェル・イヴ」。ブリジットとジェスパーが訪れるキャバレーです。また、ジャン・コクトーをはじめ文化人や政治家が集った由緒ある「ル・グラン・ヴェフール」も行ってみたい! 一方、『王妃の館』のネガツアーが訪れる庶民的なカフェも魅力的です。カフェ「カニバル」や「カフェ・ド・パリ」が撮影スポットです。【カフェ&レストラン&キャバレーの最寄り駅】●ラ・ヌーヴェル・イヴ(La Nouvelle Eve)……ブランシュ駅●ル・グラン・ヴェフール(Le Grand Vefour)……パレ・ロワイヤル・ミュゼ・デュ・ルーブル駅●カニバル(CANNIBALE CAFÉ)……クロンヌ駅●カフェ・ド・パリ(Café de Paris)……メニルモンタン駅