『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作『ザ・マスター』。アカデミー賞でも主要3部門にノミネートされている話題作だが、先日行われたロンドン映画批評家協会賞で、主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスが公式の場で初めてコメントを発表したことで、さらなる注目を集めている。舞台は第二次世界大戦末期、アメリカで信者を増やしていった新興宗教団体のカリスマ的教祖と、彼の右腕となり教団にのめり込んでいく一人の元兵士のドラマを描いた本作。ホアキンは、本作でこれまでに数多くの映画賞で賞を獲得しているものの、昨年のヴェネチア国際映画祭でも、トロント国際映画祭でも記者会見に出席しなかった生粋の“賞嫌い”で知られているだけに、今回の公式の場でのコメントは激レア! 初めて発表したコメントでは、まずは、これまで各賞へコメントを寄せなかった理由を「俳優賞を受賞するという概念と戦っています。映画という主体的な何かに対して、主演男優と定義することに、僕は違和感を持ちます。キャラクターの立ち上げから具体化するまでを、僕一人の力でやり遂げたように見えますが、決してそうではないからです」とその独自の哲学を語る。だからこそ、「ポール・トーマス・アンダーソン、根気強く真実を探し求めた男、僕は彼に深く感謝しています。彼の下で指導を受けられた自分は幸運だと思います。フィリップ・シーモア・ホフマン、彼の我慢強さとアドバイスに。常に怒り続けてくれたエイミー・アダムスに。みんなの映画に対してのサポートに感謝したい」と、アンダーソン監督を始めとする、共演者やスタッフたちへの感謝の念は深い。最後に、ホアキンはこんな言葉で締めくくった。「ダニエル(・デイ=ルイス)という名前の新人俳優が出てる『リンカーン』という映画があります、観るべきですよ」と、アンダーソン監督の前作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』の主演を務めてオスカーを手にし、本年度でも最多ノミネートで話題の『リンカーン』に主演したダニエル・デイ=ルイスについてもコメント。“賞嫌い”なホアキンの性格を考えると、かなりシニカルな発言だ。しかしここまで徹底した哲学を持つホアキンが、“望まない”主演男優賞をアカデミー賞で獲得してしまったら、どうするのだろうか? 色々な期待を込めて、アカデミー賞結果発表となる2月24日(日本時間は25日)は思わずホアキンを応援してしまいそうだ。さらに現在、トマス・ピンチョンの小説「LAヴァイス」をアンダーソン監督が映画化する作品に、ホアキンが出演交渉に入っているとあって、このコンビからはまだまだ目が離せそうにない。『ザ・マスター』は3月22日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿バルト9ほか全国にて公開。(C) MMXII by Western Film Company LLC All Rights Reserved.
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