映画祭には世界中からゲストが参加しているが、上映作品中、もっとも多くのキャストがレッドカーペットを歩いたのは、オリゾンティ(地平線)部門で上映された青山真治監督の『サッド ヴァケイション』チームだろう。なにせ主演の浅野忠信をはじめ、石田えり、宮崎あおい、オダギリジョー、板谷由夏、光石研、高良健吾、監督夫人でもあるとよた真帆と、8人が参加。これに監督とプロデューサーを加えた10人で公式記者会見の席に並ぶと、スペースが足りないほど。残念ながら午前11時からという、(ヴェネチアでは)朝早い時間での上映のため、レッドカーペットにファンがつめかけるというわけにはいかなかったが、観客の反応は上々。「映画祭に来ることで海外の人との仕事も広がる」(浅野)、「大好きな映画を海外の人に観てもらえるのは嬉しい」(オダギリ)と、手応えを感じた様子。もっとも、かつて吉田喜重監督の『嵐が丘』('88)でカンヌのレッドカーペットを歩いた経験のある石田えりは、「レッドカーペットが10歩くらいしかないので、ビックリしちゃった。カンヌはきらびやかだったのに(笑)」と本音をポロリ。そんな正直な石田さんが大好きです。