マイナス25度。全てが凍る北海道の大地に鼓動を打ち鳴らし、しっかりと根を下ろした「ばんえい競馬」の力強い姿は、多くの人を魅了している。同時に、そこでは「馬喰」を介し、馬が経済動物として取引される。同じ地域に存在する対照的な馬たち。馬と人間の営みの本質とは何か?その手掛かりは、日本の原風景とも言うべき岩手県遠野にあった。「馬搬」という職業、馬にまつわる「オシラサマ」の伝説 が今も生きていた。ここでは経験や信仰を今に伝え、豊年を祈願する馬と人間の営みが連綿と続いていた。馬と人間の関わりは何を問いかけるのか――。
笹谷遼平