メロドラマの名匠であるアン・パンソク監督が企業ドラマ『交渉の技術』(原題)で帰ってきた。
ソウル九老区新道林洞のラマダソウル新道林ホテルにて、JTBCの新ドラマ『交渉の技術』の制作発表会が開かれた。
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この席には、アン・パンソク監督をはじめ、俳優のイ・ジェフン、キム・デミョン、ソン・ドンイル、チャン・ヒョンソン、オ・マンソク、アン・ヒョンホ、チャ・ガンユンらが出席した。
『交渉の技術』は、伝説の交渉人と呼ばれる大企業のM&A専門家とそのチームの活躍を描くドラマである。『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』『ある春の夜に』『卒業』などを手がけたアン・パンソク監督の新作として期待を集めている。


これまで主にメロドラマを見せてきたアン・パンソク監督は「特にメロドラマが好きだからそればかりやってきたわけではない。“何をやったらいいと思いますか?”と尋ねると、作家の中に女性が多く、メロドラマの題材が出てくることが多いので、それを聞いて決めることが多かった。しかし今回は企業ものの企画を受けることになった。メロドラマにこだわっているわけではない」と説明した。
特に『交渉の技術』の初回放送日は、Netflixの『おつかれさま』の配信日と近く、競争構図が形成された。
イ・ジェフンは「個人的にも期待している作品で、公開時期が近いため比較されるだろうが、ジャンルの方向性が異なるので、視聴者が楽しめる作品が増えたと考えている。Kコンテンツにもっと関心を持ってもらえたらうれしい」と語った。

イ・ジェフンは、危機に陥ったサニン・グループを救うためにやって来た交渉専門家ユン・ジュノを演じる。
ユン・ジュノは鋭い洞察力と判断力を持つ交渉のエキスパートで、企業の価値を評価し、買収や合併を推進するM&A界の伝説的存在であり、白蛇(ペクサ)と呼ばれている。サニン・グループのM&Aチームのチーム長として新たな一面を見せるイ・ジェフンの演技に注目が集まっている。
イ・ジェフンは『交渉の技術』で衝撃的な銀髪スタイルに変身し、話題を呼んだ。アン・パンソク監督はそれについて次のように語っていた。
「ゼロベースからこの物語を企画したわけではなく、SLLの代表が台本を持ってきた。その中に白髪と書かれていた。それが頭に焼き付き、それ以外の選択肢は考えられなくなった。白髪にするには3~4時間早く現場に来る必要があった。イ・ジェフンは撮影分量が最も多かったはずだが、常に4時間前に来ていた。それを最後まで耐え抜き、やり遂げた」

イ・ジェフンは「俳優として常に新しい姿を見せたいという気持ちがあるが、白髪姿で演じることについて正直なところ難しさが多いのではないかと思った。不自然に見えるかもしれないし、キャラクターが白髪であることを観客に理解してもらえるのか疑問だった。外見的な白髪という要素について話を聞いたとき、心配が多かった。しかし、白蛇(ペクサ)という言葉が“百回考えて行動する”という意味だと考え、観客に初めて披露されるときにミステリアスでありながらも、交渉人としての深みを見せたいという気持ちで受け入れた。難しいかもしれないが勇気を出して挑戦した。その結果、とても気に入っている」と語った。
続けてイ・ジェフンは「アン・パンソク監督とはぜひ一緒に仕事をしてみたいと思っていた俳優の1人だった。この作品を選んだ理由の大きな部分を占めるのが、まさにアン・パンソク監督の存在だ。監督は常に作品を通して、人間に対する深い考察をキャラクターを通じて表現してきたと思う。期待も大きかったが、その分不安も大きかった。この現場で自分がうまくやれるのか、自分なりの経験を活かしながら、この物語の中で撮影期間中はこの人生を生きようと決めた。常にその繋がりを手放さないように努力した。だからこそ、この作品を通じてキャラクターから多くを学んだと言える。毎日が課題の連続だったが、現場ではどの撮影よりも楽しく、幸せだった」と話したのだった。
アン・パンソク監督はイ・ジェフンについてこう語っていた。
「撮影の準備をしていると、メイクを終えた俳優が入ってくるのだが、皆が立ち上がる。まるで最も位の高い人物が入ってくるようだった。イ・ジェフン自身も“その人物として生きなければならない”と言っていたが、白髪にしてスーツを着て入ってくると、思わず後ずさりしてしまう。70日以上撮影を共にしても、また会うたびに同じように感じた。まさにそのキャラクターそのものだった」

ユン・ジュノ(演者イ・ジェフン)とチームを組むM&Aチームの交渉専門弁護士オ・スニョンはキム・デミョンが演じる。
M&Aチームの感性を担当するオ・スニョンは、交渉相手と共感を築きながら、自然に有利な方向へ導く話術を持つ人物。穏やかな口調と豊かな感性で、ユン・ジュノとは異なる交渉技術を披露するキム・デミョン流のオ・スニョンの物語に注目が集まっている。
キム・デミョンは「衣装や小道具にこだわりながら変化をつけようとした。個人的に自分の服や小道具を活用し、俳優自身のリアルな部分がキャラクターに溶け込むようにしたかった。そうした点に気を配った。台本がとても面白く、そのまま演じるだけで十分だと思った。監督の言葉に耳を傾け、いただいたコメントをもとにより良い演技を見せようと努めた。チームの中にいると自然に溶け込めるので、ドラマを見ればその意味が伝わるはず」と語っていた。

ソン・ドンイルはサニン・グループの会長ソン・ジェシクを演じる。サニン建設から始まり、サニン・グループへと成長するまで卓越した事業手腕で韓国企業の歴史を塗り替えた創業者ソン・ジェシクは、周囲を圧倒するリーダーシップとカリスマ性を持つ。
危機に瀕した会社を救うためにユン・ジュノを召喚し、権力構造に旋風を巻き起こすソン・ジェシクの歩みを描くソン・ドンイルの迫力に期待が高まる。
会長役を務めたソン・ドンイルは「アン・パンソク監督と一緒にやりながら“こんなに楽しく演じたのはいつ以来だろう”と思った。監督からは“思い切りやれ”と言われ、本当に楽しく撮影した。撮影が終わってしばらく経つが、それでも記憶に残っているのは、本当に面白かったからだ」と述べたのだった。

サニン・グループのCFO(最高財務責任者)のハ・テスをチャン・ヒョンソンが熱演する。
ハ・テスは財務・会計などグループの資金を掌握し、勢力を拡大しているサニン・グループのナンバー2である。
次期会長候補として浮上している彼は、突如として現れた異物・ユン・ジュノと露骨に対立する人物だ。ハ・テスというキャラクターが持つ巨大な野望を完成させるチャン・ヒョンソンの変身が期待されている。
チャン・ヒョンソンは「変化が本当に必要だったのかとも思う。時代劇でも草鞋を履いたことがないくらい、主に品格のある役を演じてきた。今回は最高財務責任者という役柄で、経済に関わりながら企業のナンバー2となった。それでも、ほかの勉強は楽しかったが、本当に数学が苦手だった。数学が得意で最高財務責任者になった友人たちに会い、アドバイスをもらいながら学んだ」と語った。
また、「演技対決のように表現されるが、ある瞬間にはそう見えるかもしれないが、私たちは同じ目標を持ち、同じ仕事を成し遂げなければならない。正しい方向を示してくれる船長がいるおかげで、すべての瞬間が楽しかった。火花散る演技対決を見ながらカタルシスを感じるならば、それは精巧に設計された図面を見ているのと同じことだ」とも語ったのだった。

オ・マンソクはグループの対外協力室長であるイ・ドンジュンを演じ、劇中でユン・ジュノとM&Aチームの大胆で破格的な歩みに力を添える。
大企業の役員でありながらも気さくで温厚な性格を持つイ・ドンジュンは、ソン・ジェシク(演者ソン・ドンイル)が唯一信頼する社員であり、親友でもある。
サニン・グループ内の勢力間の緩衝地帯となるイ・ドンジュンの柔軟さは、オ・マンソクの穏やかな雰囲気によってさらに安定感を増している。
アン・パンソク監督と多くの作品で呼吸を合わせてきたオ・マンソクはこう語っていた。
「これまでは主人公の父親役が多く、関わる人物が限られていた。今回は企業の中で繰り広げられる役柄なので、多くの俳優やキャラクターと共演することができ、新鮮で幸せだった」


アン・ヒョンホとチャ・ガンユンは、それぞれM&Aチームの課長クァク・ミンジョンとインターンのチェ・ジンスとして息の合ったコンビネーションを発揮する。
卓越した暗算・記憶力を持つM&Aチームの理性的な担当クァク・ミンジョンと、MZ世代ならではの新鮮な感覚と能力で交渉の新たなパラダイムを提示するチェ・ジンスは、ユン・ジュノ、オ・スンヨン(演者キム・デミョン)と協力し、交渉を成功へと導いていく。これにより、完璧なバランスを誇るM&Aチームの活躍にも注目が集まる。
アン・ヒョンホは「実際には数字に強くないので、YouTubeをたくさん参考にした。暗算する際の視線や表情を研究して準備した。さまざまな人間模様が描かれているので、それを見守るのがこのドラマのポイント」と付け加えた。
チャ・ガンユンは「アン・パンソク監督の作品でデビューすることになったが、このオファーをいただいたのがちょうど去年の誕生日頃だった。大きな誕生日プレゼントをもらったようで、本当に光栄だった。多くのことを学ばせてもらった」と語ったのだった。

交渉のテーブルで自らの利益を確保しようと、毎日銃声なき戦争を繰り広げる交渉人の物語を描くJTBCの新ドラマ『交渉の技術』が、3月8日の夜10時30分に初放送される。
(記事提供=OSEN)
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