第18回大阪アジアン映画祭で、観客賞と薬師真珠賞(俳優賞)をW受賞した台湾映画『本日公休』が9月20日(金)より全国公開されることが決定した。
台中にある昔ながらの理髪店。女手ひとつで育て上げた3人の子どもたちもすでに独立し、店主のアールイは今日も一人店に立ち、常連客を相手にハサミの音を響かせる。
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息子の卒業式に出席するため整髪に来た紳士、親に内緒で流行りのヘアスタイルにしてほしいと懇願する中学生…。娘や息子に「こんな理髪店は時代遅れ」と言われても、40年続けた店と常連客を大切に想い、アールイは、せわしくも充実した日々を送っている。
そんなある日、離れた町から通ってくれていた常連客の“先生”が病の床に伏したことを知ったアールイは、店に「本日公休」の札を掲げ、古びた愛車でその町へ向かうが…。
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作家、MV監督としても活躍するなど多彩な才能をもつ台湾の俊英フー・ティエンユー監督の劇場長編3作目となる本作。監督自身の母親をモデルに書き上げたシナリオを基に、台中の実家で実際に営んでいる理髪店で撮影を敢行し、3年の月日をかけて完成させた。
全編を通じて柔らかなノスタルジーを感じさせながらも、家族間に波立つ感情や、“老い”を受け入ていく心情、新たな希望を見出す道程を、リアルで現代的な視点を交えながら繊細に描き出し、本国台湾では国内新作映画初登場1位のヒットスタートを切った。
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主人公のアールイ役には、1999年以来、映画の出演から遠ざかっていた『客途秋恨』(アン・ホイ監督/90)の名優ルー・シャオフェンが24年ぶりに銀幕に主演復帰。「こんな脚本をずっと待っていた」と出演を即決したシャオフェンは、約4か月間ヘアカットの猛特訓を積み撮影に臨んだ。
本物の理髪師さながらのハサミ捌きと、ブランクを感じさせない演技で、台北電影奨主演女優賞、大阪アジアン映画祭薬師真珠賞(俳優賞)を受賞。
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また、アールイに反発的な次女リンを演じたファン・ジーヨウが台湾金馬奨助演女優賞を、次女の元夫で心優しいチュアンを演じたフー・モンボー(『返校 言葉が消えた日』)が台北電影奨助演男優賞を受賞した。『藍色夏恋』(02)のチェン・ボーリン、『僕と幽霊が家族になった件』(22)のリン・ボーホンが、特別出演しているのも見逃せない。
プロデュースは、エドワード・ヤン監督『ヤンヤン 夏の想い出』(00)への主演や、ホウ・シャオシェン監督『悲情城市』(89)、『恋恋風塵』(87)の共同脚本で知られる台湾ニューシネマの重鎮ウー・ニェンチェンが務めている。
予告編では、台湾最大の音楽賞「金曲獎」で2023年に最優秀新人賞を受賞した注目の女性シンガー、ホン・ペイユーによる映画オリジナル主題歌「同款」が、温かい余韻をもたらしている。
また、台湾版ビジュアルのポストカード2枚セット付き前売券が、新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座で好評発売中だ。
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『本日公休』は9月20日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開。