大島渚監督による日本語(吹替)版がリバイバル上映される『風が吹くとき』より日本版ポスタービジュアルと新たな場面写真が解禁された。
1987年アヌシー国際アニメーション映画祭最優秀作品賞受賞の本作は、核戦争の脅威を描き、世界的なセンセーションを巻き起こしたイギリス製アニメーション。
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「スノーマン」や「さむがりやのサンタ」で知られる作家・イラストレーターのレイモンド・ブリッグズが、マンガのようなコマ割りスタイルで描いた同名の原作「風が吹くとき」(あすなろ書房刊)を、自らも長崎に住む親戚を原爆で亡くした日系アメリカ人のジミー・T・ムラカミ(『スノーマン』)が監督。
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また、本作では音楽プロデューサーを元「ピンク・フロイド」のロジャー・ウォーターズが手掛け、主題歌をデヴィッド・ボウイが歌っていることでも大きな話題を呼んだが、オリジナル・サウンドトラックも期間限定のお得な価格にて2024年3月より再発売されている(「ストラングラーズ」のヒュー・コーンウェル、ジェネシス、ポール・ハードキャッスル、スクイーズも参加した全15曲収録)。
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さらに『戦場のメリークリスマス』(1983)で生まれたボウイとの友情から、日本語(吹替)版を大島渚監督が担当。また、主人公の夫婦ジムとヒルダの声を森繁久彌と加藤治子が吹き替えたことでも大きな話題を呼んだ。
解禁された場面写真は原作には描かれていないシーンもあるが、これはジミー・T・ムラカミ監督の演出によるもの。特に、妻ヒルダが見る白昼夢の描写は、原作では夫ジムの「良き妻」という印象が強かった彼女が、実は繊細で想像力が豊かな人物であることが描かれる。このエピソードによって、「人間性を奪う」戦争の本質が明確に感じられる。
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併せて解禁となった日本版ポスターは、ジムとヒルダ夫婦をメインに、背景に戦争の足音を感じさせる爆撃機と、戦争を伝えるラジオがシンプルにレイアウトされたもの。
青と赤のツートーンの背景カラーは、劇中の場面からインスパイアされたもので、本作がもつ様々な2面性――ほのぼのとした作画にも関わらず核戦争の恐怖を伝えるというテーマとのギャップの大きさ、映画前半部で描かれる夫婦のありふれた幸せな日常と後半部で描かれる原爆の被害の恐ろしさ――を伝えるものとなっている。
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『風が吹くとき』は8月2日(金)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。