日本を代表する名脚本家・作家で、2023年11月29日に逝去した山田太一作の長編小説をアンドリュー・ヘイ監督の手により再映画化した『異人たち』。この度、アンドリュー・スコット演じる主人公の母親役を演じたクレア・フォイのインタビュー&本編映像が到着した。
今回解禁されたのは、本作の主人公・アダムを演じたスコットと、子どもの頃に死別したはずの母親を演じたクレア・フォイが語り合う本編シーン。
穏やかな表情を見せながら、かつて失った時間を取り戻すかのように優しい表情を見せる2人だが、そこには30年前にこの世を去ったはずの母と大人になった自分との、ぎこちなさも感じ取れる。「子供だったのに…もう違う」とつぶやく母の言葉からは、成長を見届けられなかった切なさと寂しさが滲み出ており、ありふれた親子の温かい光景のようでありながら、どこか胸を締めつけられる雰囲気が漂っている。
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また、同年代の俳優でありながら、しっかり親子であると感じさせるスコットとフォイの2人の演技は、数々の作品で実力を発揮してきた名優だからこそなし得る説得力をスクリーンに刻み込んでいる。
30年前にこの世を去った当時の姿のまま、アダムの前に姿を現した母を演じたフォイは、Netflixシリーズ「ザ・クラウン」(16~22)のエリザベス女王役として知られて以降、英国アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされた『ファースト・マン』や、『蜘蛛の巣を払う女』など、続けて話題作へ出演。2022年にはサラ・ポーリーが監督・脚本を務めた『ウーマン・トーキング 私たちの選択』でサテライト賞助演女優賞を受賞するなど、大きな注目を集めている。
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今回、本編映像とあわせて彼女のインタビュー映像も到着しており、本作について「多くの人がこの作品を“自分ごと”として感じられるのが分かります。それが本作の素晴らしさです。私も感動しました」とその魅力を明かし、「情愛や子育て、その正しさや間違い、愛に伴う喪失、そして愛を貫く勇気。それらの美しさに共感し、語られるべきだと思いました」と力強く言葉を紡いでいく。
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一方で、30年前に亡くなったはずの人間であり、当時の姿のまま、成長した息子と邂逅を果たすという難しい役どころでもあった本作。現場では「彼を頼りにしていました」とスコットへの絶大な信頼を寄せていたそう。「私や皆が心配したのは、親子の関係性がどうすればうまく描けるのか、自然に見えるのか。いざ演技を始めると脚本の素晴らしさに導かれ、頭で考える必要はなく、感情と感覚に身を委ねました」と、ヘイ監督の脚本の撮影をふり返る。
「あの場で私は本気で泣いていました。号泣です。参加できて光栄でした」とフォイ自身が語る家族が揃うラストシーン。この世ならぬ“異人”というべき両親とアダムの邂逅の先、彼らが選んだ未来に心打たれること必至だ。
本作にはスコット、フォイのほか、父親役として『リトル・ダンサー』『ロケットマン』のジェイミー・ベルやアダムと恋に落ちる青年・ハリー役でポール・メスカルも出演。主な登場人物は彼らが演じるわずか4人のみ。実力派キャストだからこそ成し得た、美しく幻想的な映画体験実現する。
『異人たち』は全国にて公開中。