TAICCA蔡嘉駿・董事長。
「2023 TCCF クリエイティブコンテンツフェスタ(Taiwan Creative Content Fest )」が11月7日に台湾・台北市で開幕した。
日本の文科省に相当する台湾文化部のもとに設立された、台湾文化コンテンツ産業のサポートと国際化を促す独立行政法人「台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー 」(以下、TAICCA 読み:タイカ)が主催する本イベント。4年目となる今年は、「ピッチング」「マーケット」「イノベーションとインダストリアルステージ」の3つを柱に、11月7日から11日12日の日程で開催される。
同日行われた開幕式には、台湾行政院の鄭文燦・副院長(副首相)や、文化部の史哲・部長といった政府高官、通信大手・中華電信の郭水義・董事長や大手テレビ局の責任者など産業界の関係者、内外からのゲストが多数出席。官民あげて文化産業を推進していく姿勢を改めてアピールした。
台湾では、来年から4年間で台湾発の文化コンテンツ産業に100億台湾ドル(約467億円)を投じる「黒潮計画(英語名:1 plus 4-T-content plan)」が実施されることが決まっており、開幕式では、史部長やTAICCAの蔡嘉駿・董事長が「台湾に投資するなら今」と文化コンテンツ産業への投資の呼び込みと国際化に意欲を見せていた。
その開幕式直後に行われた「INDUSTRY STAGE」には、KADOKAWAの夏野剛・取締役代表執行役社長が登壇し、同社が推し進めるグローバルなメディアミックスについて紹介。スピーチの冒頭では、開幕式の顔ぶれと台湾の文化コンテンツ産業への支援の厚さに感銘を受けたと述べ、日本では漫画やアニメなど利益になるコンテンツにサポートがないと、日本政府の姿勢をチクリと刺す一幕もあった。
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KADOKAWAは先ごろ、連結子会社「台灣角川股份有限公司」がTAICCAと映像化共同投資及び製作に関する基本合意書(MOU)締結を発表したばかり。台湾角川は2021年から小説連載プラットフォーム「KadoKado角角者」を立ち上げ、台湾のオリジナル作品の育成に力を入れている。
TCCFの大きな柱の1つ、ピッチングでは国内外から参加したプロジェクトが資金調達や制作協力の可能性を探るが、今年は世界29か国から539件に上るプロジェクトの応募があったという。昨年までの長編映画、ドラマ、アニメーション、ドキュメンタリーが対象の「Project to Screen」部門に加え、今年、新たに設置されたのが魅力的な台湾オリジナルのコンテンツを紹介する「Story to Screen」部門。台湾角川も短編小説「下属出租方案」(著者・沐謙)がこの部門に入選している。