『コーダ あいのうた』でろう者の俳優として初めてアカデミー賞助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーが製作総指揮、北アフリカのイスラム国家アルジェリアを舞台にしたムニア・メドゥール監督による『裸足になって』。この度、主人公のフーリアの親友・ソニアが、故郷を脱出し“自分の人生を生きたい”という真っ直ぐな思いを語った本編映像が解禁された。
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バレエダンサーになることを夢見るフーリアは、ある夜、男に階段から突き落とされ大怪我を負い、踊ることも声を出すこともできなくなってしまう。失意の中で、彼女がリハビリ施設で出会ったのは、それぞれ心に傷を抱えたろう者の女性たちだった。
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「あなたダンサーなのね。わたしたちにダンスを教えて」そのひと言から始まったダンス教室で、フーリアは再び“生きる”情熱を取り戻していく――。
この度解禁される本編映像は、フーリアがアルバイト先のホテルで親友・ソニアと話す場面。「(このまま)惨めな生活を続ける? 石油も水も小麦も不足してる、ネットや文化も。次は酸素まで奪われて死ぬかも」とソニアは言う。
公共の場所では踊る機会が限られ、身体を使った表現も規制されるアルジェリア。ここではダンサーへの夢を持っていても、現実では生きるためにホテルで清掃バイトをする日々しかない。そんな毎日に嫌気がさしているソニアは危険を承知でビザを偽造して出国、“スペインでダンサーになる”という夢のために「一緒にバルセロナへ」と、フーリアに熱心に語りかけている。
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アルジェリア文学に詳しい明治大学国際日本学部准教授・鵜戸聡氏は「本作は、前作『パピチャ 未来へのランウェイ』と同様、現代アルジェリアで筆舌に尽くしがたい苦難を生きる女性たちの強靭な生命力と強烈な創造力、そして濃密なシスターフッドを美しく描き出している」とコメントを寄せる。
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「この20年でアルジェリア社会は大きく変化した。治安は大幅に改善され、出版社や文学賞が設立されて文化活動も盛んである。コロナ禍直前には『ヒラク』(運動)と呼ばれた平和的な全国デモによって20年近く続いたブーテフリカ政権が退陣することにもなった。それでもなおこの20年間続いている問題があるのだということを『裸足になって』は描こうとしているように見える」と語っている。
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『裸足になって』は7月21日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開。