「マンダロリアン」シーズン3がついに完結。その最終話・チャプター24のタイトルは「帰還」。1つになったマンダロリアンは、マンダロリアンらしい戦いの果てに故郷を取り戻して帰還。そしてニコイチの関係、“クラン・オブ・ツー”のマンドーことディン・ジャリンとグローグーは、家族となって縁ある星に戻った。
怒涛のアクションに因縁の戦いの決着、グローグーの成長など目頭が熱くなる場面がいくつもあり、間違いなく「マンダロリアン」は“完璧な「スター・ウォーズ」”だった。
まさにマンダロリアンの「スター・ウォーズ」
故郷の星マンダロアに戻ったボ=カターン・クライズたちマンダロリアンと、ベスカー合金のアーマーを纏ったモフ・ギデオンと新ダーク・トルーパーたちとの戦いの火蓋が切って落とされた前回。
かつて帝国による大粛清に抗戦するも、屈するしかなかったボ=カターンら“ナイト・アウル”と、それを衛星コンコーディアに潜んで見守るしかなかったディンやアーマラーら“ザ・ウォッチ”。彼らマンダロリアンたちが派閥を超えて団結したからこそ、自らの強欲と野心のためにフォースを扱えるクローンを生産しようとしたモフ・ギデオンをついに倒すことになった。
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黒ずくめのベスカー・アーマーで、まるでダース・ベイダーのような出で立ちのギデオンにダークセイバーで立ち向かったボ=カターン。空から降下してきたアーマラーと並んで、ダークセイバーを振りかざすシーンはさすがにカッコよかった。まさしくリーダーだった。
その上、指導者の象徴とされたダークセイバーがギデオンによって破壊されてもなお、ボ=カターンが立ち上がれたのは、最初にグローグーを救出したシーズン1の「チャプター3:罪」やシーズン3での「チャプター20:孤児」のように、マンダロリアンには仲間のために団結し、ときには自分を犠牲にしてでも共闘する文化があるからだ。
また、ディン・ジャリンのナイフ技のように、マンダロリアンだからこそ装備をフルに活用しながら、ベスカー・アーマーに被われていない新ダーク・トルーパーの急所を狙うことができるのは強み。
ジェットパックで飛び回るマンダロリアンと新ダーク・トルーパーたちの迫力ある空中戦、マンダロリアンの紋章が入った元帝国の船vsタイ・ファイターの戦いも新鮮に映り、故郷の星を侵略する帝国の残党たちをマンダロリアンが束になって一掃していくシーンの数々は、これぞマンダロリアンの「スター・ウォーズ」だ。
マンダロリアンを1つにするのはダークセイバーではない。国を、人々を、1つにするのは武器なんかじゃないのだ。
大粛清で都市文明が破壊され、荒れ廃れたと思われていた故郷の地下に、「風の谷のナウシカ」のごとく古来からの植物が自然に芽吹いていたこと、そして再び鍛冶場に新しい炎が灯されたことで、これ以上ない形でマンダロアの新時代が到来した。
ディン・ジャリン&ディン・グローグーは2人で1つ
マンダロリア奪還のためにはギデオンを倒さないと未来はない。そう悟ったディン・ジャリンが、IG-12(声はもちろんタイカ・ワイティティ!)に乗り込んだグローグーにピンチを助けてもらうと「覚悟を決めてくれるか」「もう逃げない」と宣言し、それにうなづくグローグーが胸アツだった今回。このオープニングから、傑作の予感はしていた。
だが、ギデオンに立ち向かうディン・ジャリンの前に、“プレトリアン・ガード”も現れてグローグーを襲う。IG-12を破壊されたグローグーがピョンピョン跳ねながら攻撃をかわす姿は、『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』でパルパティーン皇帝ことダーク・シディアスと戦った頃のマスター・ヨーダのよう。
また、ドロイドR-5の活躍でも、かつてのアナキンやオビ=ワン、ルークらとR2-D2とのやりとりを思い起こさせ、『エピソード4/新たなる希望』をはじめとする旧3部作、新3部作の映画作品の雰囲気を随所に感じさせた。IG-12に乗れば、グローグーは“パパ”ディンと同じ目線の高さで話すことができていたから、壊れてしまって残念だ。
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戦いのクライマックスでは“パパ”ディンとボ=カターンがグローグーを守りながらも、グローグーがフォースを巧みに操ってギデオンに迫っていった。短い期間ながらもルークのもとで修行したこと、何よりジェダイ聖堂で修行した記憶を取り戻したことがフォースの制御につながったのかもしれない。
そして、ギデオンの基地を壊滅させるべくアックスが船を墜落させたときも、“パパ”ディンとボ=カターンを大爆発の炎と爆風から守ったのはグローグーのフォースだった! さすがにこの後は力尽きて、久々にコテンと座り込んでしまったグローグー(可愛い)。きっとこのシーンは、これから先、何度見返しても目頭が熱くなるはずだ。
こうしたマンダロア奪還の後には、マンダロリアン“ザ・ウォッチ”の教義に則ってグローグーはディン・ジャリンの弟子になるために、彼の養子となって“孤児を卒業”、ディン・グローグーと名乗ることになった。これから2人は表向きは賞金稼ぎとして、帝国の残党たちを密かに退治する冒険を始めるのだろう。
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思い出がたくさん詰まったネヴァロにて、“新居”でくつろぐ“パパ”ディンと、フォースでカエルを操るディン・グローグーのラストシーンの微笑ましさといったら!(「ボバ・フェット/The Book of Boba Fett」チャプター6のルークとの修行のときみたい)。
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彼らにまた会えるのは、「アソーカ」もしくは、シーズン4か? それとも本作の製作総指揮デイブ・フィローニが監督する新作映画? シーズン3は最高のエンディングではあったものの、もうすでにロス…。やっぱり「マンダロリアン」は、“完璧な「スター・ウォーズ」”だ。
「マンダロリアン」シーズン3はディズニープラスにて独占配信中(全8話)。
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