北野武監督の最新作『首』完成報告会見が4月15日(土)、都内にて行われ、北野監督のほか、出演する西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、浅野忠信、大森南朋が報道陣からの質疑応答に答えた。西島さんをはじめとするキャスト陣は「北野組に参加できて幸せだった」と異口同音、北野監督は「おかげさまで北野組はあまり役者さんに断られることなく、声をかけると、大したギャラは出ないのにありがたいことです」と感謝を伝えていた。
『首』は北野監督の最新作にして、構想に30年を費やした戦国スペクタクル。戦国時代を舞台に、「本能寺の変」が戦国武将の羽柴秀吉(北野さん)、明智光秀(西島さん)、織田信長(加瀬さん)、徳川家康(小林薫)らや忍、芸人や百姓といった多彩な人物の野望と裏切りとともに描かれる。
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会見冒頭でKADOKAWA代表取締役社長・夏野剛が、「今までの時代ものとはまったく毛色が違う稀有な作品。オリジナリティがふんだんに詰め込まれた作品です」と興奮して説明。
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北野監督はこの時代に焦点をあてたことについて、「男同士が絡み合うこと、殿様に対して命をかけるのはそういう関係であるというのは自分の考え方。それらを描かずに戦国時代を語るのはおかしいので、そうした話もちゃんと入れている。あと、侍や戦国大名は悪いやつらで、一般の人たちが死んでも関係ない。残酷さと生と死をバックボーンとした生き方をうまく描ければなと。死を前にした男同士の関係がうまく描ければと思った」と作品に込めた思いを語る。
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『Dolls』以来の北野組参戦となった西島さんは、「無欲に、監督の頭の中にある作品を何とかこの現実の世界に表に出すために、自分の力を出し尽くそうと現場に毎日臨み、とても幸せな毎日でした」と笑顔で振り返る。また、西島さんは本作ならではの特色について、「常に死が傍にある状況の中で生きているので、滑稽と悲惨が本当に隣り合わせ。すごい笑っていると突然その後に信じられないくらい悲惨なことが起きたりする。監督にしか描けない世界観、面白さだなと思いました」と声を弾ませた。
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3度目の北野組となる加瀬さんは、織田信長を演じる。挨拶で「『アウトレイジ』シリーズでもかなり自分からは遠い役を演じて大変だったので、今回も難しいだろうなと思って参加しましたが案の定、大変な目に遭いました(笑)」とほのぼのとほほ笑んだが、この日解禁されたプロモーション映像では、残忍な信長を嬉々として演じているようにも映った。
加瀬さんは「まず自分に信長役をくれるのは監督くらいしかいないかな、と思いました。(出てくる人が)今回ほぼ全員ひどい人でしたね(笑)。残酷なシーンも数々出てくるんですけど、なぜかわからないけど、監督がそういうのを描くと最終的には品のいい映像に収まっているのが、すごくほかの監督とは明らかに違うところだと思いました」と北野監督ならではのオリジナリティを称えた。北野監督は「教養があって家柄がいいんだと思います」と冗談めかして答え、キャスト陣を笑わせていた。
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『首』は2023年秋、全国公開。