《キャサリン/Catherine》
パキスタンで曾祖母アイシャの足跡を探るカマラ。追手クランデスティン達に執拗に追われながらも、レッド・ダガーの協力も得て、曾祖母アイシャの故郷である別の次元の世界と自分たちの世界が繋がっていることを知る。
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今はヴェールによって隔てられているが、クランデスティン達はバングルを使いヴェールを破り故郷へ帰ることを狙っているという。それが実現してしまえば、カマラのいる世界全てが崩壊してしまうと聞かされ、一気に世界を救うレベルの話に発展。そんな中、追手と闘う中でバングルに攻撃を受けた瞬間、カマラはタイムスリップしてしまい、辿り着いたのは祖母サナがいつも話ていた曾祖母アイシャとはぐれてしまったあの日夜だった。
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第4話、5話はパキスタン編となりパキスタン初のアカデミー賞受賞監督が手掛けていることもあってか、しっかりと歴史的背景も織り込みながら描かれていることが印象的だった。大きな歴史・社会の変化に翻弄される市民という視点で、幸せな家庭を築いていた家族がムスリムであることを理由に住んでいた故郷を去らねばならない辛い過去…。
もしかしたらカマラの世代は、家族から嫌と言うほどその話を聞かされていても、それがどんなに大変なことだったのかはわからないかもしれない。でもそこには人が生きた歴史があり、必死に家族を守ろうとした曾祖父母夫婦がいたからこそ、カマラ達の今があるという、歴史の転換期に生きた人達へのリスペクトも感じられる内容だった。
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今話の粋な演出と言えばなによりも、幼い祖母サナを救ったのは、実は曾祖母アイシャが未来から呼び寄せたカマラという展開! それを母ムネバと祖母サナに暗に伝えた時に、曾祖母アイシャから実に4世代に渡る絆が生まれた心温まる瞬間に涙する。移民二世のアイデンティティだけでなく、4世代それぞれの思いを丁寧に描いていることに拍手を送りたい。そして、4世代の足跡を一つ一つ辿る中で「ミズ・マーベル」のコスチュームに繋がるアイテムが揃っていくのも面白い。
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一方で、カマラの家族の系譜と、転校生カムランのそれがやや対照的に描かれていることも興味深い。カムランの母ナジマはヴィランとして描かれつつも、最後は息子の今後の人生を案じ、身を挺してヴェールを閉じ散ってしまった。自分が信じていた親に突然突き放されても親を信じたいが、実は二度と戻ってこないというカムランの現実はなかなか辛い。それもカムランに人生があるからという親の想いがどこまで彼に届くのか…。しかも、母親から力を受け継ぎダメージコントロール局に追われる新たな展開に発展。やはり今回もMCUドラマあるあるの「あと一話でこれどうするの?」という流れは健在だ。
追ってくるダメージコントロール局、カムランの不思議な力、ブルーノの恋、ナキアとカマラの喧嘩状態、なによりまだ「ミズ・マーベル」とは名乗っていない…など最終話で盛り込んで欲しい話題はたくさん! 「ムーンナイト」のように徹底して他MCU作品との絡みは薄めに描くのか、それとも他作品キャラのサプライズ登場があるのかも気になるところ。来週の最終話配信が待ちきれない。
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