《text:キャサリン/Catherine》
第4話でついにハロウの企みを阻止できる寸前まで来たところで、銃弾に倒れてしまったマーク/スティーヴン。死後の世界で目覚めたマーク/スティーヴンはエジプト神話の女神タウエレトに出会う。
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タウエレトから、自分の過去と向き合うことを促され、過去の記憶を辿るマーク/スティーヴンだったが、幼少期の記憶が想像以上に暗い…。児童虐待などの描写があるので、苦手な方は気を付けていただいた方が良い。少年マークが弟と洞窟へ遊びに行き、弟は洞窟内で事故死してしまうがそれを母親はマークのせいだと責め立てる描写は身につまされる。
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マークは母親の虐待から精神的に逃れるため、もう一つの人格スティーヴン生み出したこと、発作のせいで除隊となり傭兵になったこと、瀕死の状態でコンスに見入られ(つけこまれ?)ムーンナイトが誕生したことなど、ヒーロー誕生ストーリーとしてはなかなか重たい背景だ。だがそもそも、物語冒頭では、マークに助けて貰っていたスティーヴンだが、振り返ってみれば、事態の解決に向け物事を前進させてきたのはだいたいスティーヴンの方。マークにとっての人生のパートナーでありヒーローが、スティーヴンなのかもしれない。
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正直、どうしても精神病棟のシーンは、同じく精神疾患を患っているヒーローが主人公のマーベルのドラマ「レギオン」(Disney+で配信中)の方が、作品としての完成度は高いと思うが、今作はそれにエジプト神話が加わっているのがやはりユニーク。深刻なエピソードではあるが、タウエレトのおとぼけキャラがいい塩梅で癒しになり、こういうところマーベルっぽいなと感じる。
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今エピソードで原作通りマークでもスティーヴンでもない、もう一人の人格であり、一番暴力的なジェイクが出てくるかと思われていたが明確に出てこず…。オスカー・アイザックの出演契約は現状本作のみとのことなので、シーズン2も未定。残り1話でどうやって登場させるのか気になるところ。最終話の配信は『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の公開初日と同日。何かクロスオーバーがあるのかどうかもファンとしては期待してしまう。
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