永野芽郁、田中圭、石原さとみらの共演で贈る映画『そして、バトンは渡された』。本作の個性ともいえる重要な料理の数々は、前田哲監督作『極道めし』も担当しているフードコーディネーターのせんるいのりこが手掛けている。
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主人公・優子(永野芽郁)の義理の父親である森宮さん(田中圭)は「子供に栄養をつけさせるのは親の務め」「優子ちゃんを幸せにするのが親の務め」と、とりわけ料理には気を遣い、愛情を表現するキャラクター。原作と同様に、劇中でも回鍋肉、ロールキャベツ、餃子、野菜たっぷりスープ、オムライスなど森宮さんが作る沢山の手料理が登場する。
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森宮さんが優子に料理を振る舞うシーンはどれを切り取っても印象的だが、中でも必見なのは楽器店の前でばったり会った優子の憧れの存在、早瀬くん(岡田健史)を食事に誘い、森宮さん、優子、早瀬くんの3人で食卓を囲むシーン。その日の献立のメインは、森宮さん特製の「ニラと野菜たっぷり餃子」。焼きたての円盤餃子が運ばれるたびに、永野さんも、田中さんも、岡田さんも、とにかく美味しそうに餃子を口にし、「カット!」がかかるたび、キャストからは「おいしい~」という言葉が漏れていたという。
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前田監督からは、食べながら目線をどう動かすのかなど細かい演出も入っていたようだが、「本当に美味しいと芝居も変わってくると思うんです」とプロデューサーが語るように、家族で食卓を囲むという、平凡ながらも贅沢な幸せを、美味しい料理と温かい空気感によって作り出していた。「せんるいさんの料理はどれも美味しいので、料理のシーンの撮影日は、俳優部はお弁当を食べないんですよね(笑)」とスタッフが明かすほど、キャストもせんるいさんの料理に胃袋を掴まれていた様子。
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また、ひとり暮らしを始めた優子が久々に森宮さんを訪ねるシーンでは「手伝ってもいい?」と、優子と森宮さんが並んでキッチンに立ち、ミートソースのパスタを作る。森宮さんの背中を見て料理の道へ進むことを決心した優子が、森宮さんと同じリズム、同じ動きで、野菜を刻む姿は、何気ないなかに2人が親子として過ごしてきた時間が感じられ、胸にじんわりと響くシーンとなっている。
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田中さんは「普段料理はしないので、どうにか編集で誤魔化していると思っています(笑)」と、最初は慣れない調理に悪戦苦闘していたものの、撮影を重ねるうちに少しずつ上達していき、包丁さばきや鍋ふりも器用にこなす料理上手の父親役を熱演。キッチンの棚には様々な調味料が、リビングの棚にはたくさんの料理本が並び、優子への森宮さんの愛情が垣間見える家の風景も注目ポイントとなっている。
『そして、バトンは渡された』は10月29日(金)より全国にて公開。