アメリカ建国の父といわれるアレクサンダー・ハミルトンを描き、トニー賞をはじめ、グラミー賞、ローレンス・オリヴィエ賞、ピューリッツァー賞などを多数獲得した本作。
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製作・脚本・音楽・作詞、さらに主演までも務めるのは、『メリー・ポピンズ リターンズ』や『モアナと伝説の海』などのリン=マニュエル・ミランダ。今回、6月16日(現地時間)にリモート上で行われた、スタッフ&キャスト11名が参加したオンライン記者会見での彼と監督のコメントが到着。
舞台のために書かれた本作が映画公開用に作りなおされ、さらにディズニープラスで世界同時配信されることについてや、リンが本作制作時ディズニーアニメーション『モアナと伝説の海』の楽曲制作を兼務していたこと、また公開が1年早まったため各国語字幕が間に合わず、まずは英語版のみの配信となることなど、監督と本作に対する熱い想いを語っている。
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大ヒットミュージカルの舞台をこなしながら「かなり初期の頃に僕らが気づいたことが2つあった」と言うリンは、「1つは、もしショーを若い人たちにも観に来てもらうことができなければ、意味がないということだ。それで、僕らはHamilton Education Program Experienceというのを作って、どんなにチケットがショップで高騰していても学生たちが『ハミルトン』を観に来れるようにしたんだ」と語る。
「リチャード・ロジャース劇場で1回に観てもらえるのは1300人で、ずっと見たくても見られない状態が続いていた。だから、この素晴らしい舞台を記録して残せるように、すごく一生懸命努力したんだ。それで、僕を含むオリジナルキャストが去り始める前の週に、ショーをやっている間に撮影することが出来たんだよ」と明かし、「そのおかげで、舞台を観ることが出来ない今、このショー、この瞬間のスナップショットという贈り物を手に出来たんだ。僕はそのことを本当にありがたく思っているよ」とふり返った。
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また、監督は「僕の目標は、ショーの中に入り込んで、カンパニー全員によって、本質的に、美しく、作られたショーを讃えることだった。これは、舞台上でみんながストーリーを語るショーなんだ。映画の中で、クローズアップは、観客に親密さを与えてくれる。でもそれはまた、全体像を見るのを妨げることになりうる。だから、映画を作っている間ずっと、僕らは劇場にいるんだということを決して忘れないようにするにはどうすればいいか、深く話し合ったよ」と、映画作品にするための工夫を力説した。
さらに、アメリカで高く評価された本作がディズニープラスで多くの他の国々でも配信されることについて、リンはアメリカ以外の国にとっても重要な問題を描いていると考えているようだ。「『レ・ミゼラブル』はフランスのお話しだけど、フランス以外の国々の観客の共感を呼ぶのと同じようにね。革命は普遍的なんだ。与えられた人生で何をするかというストーリーも、願わくば、普遍的だ」。
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そう語りながらも、「当初、来年10月に映画館で公開する時に、多言語版をつけようと思ってたんだ。でも、公開時期が繰り上がったから、各国語の字幕は、出来るようになって、準備が出来たものから足していくことになるよ。だから、それは今後引き続き作業を進めていくことになる。このショーの中の何千という言葉を翻訳しないといけない人々には申し訳なく思うよ」と打ち明けた。
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そんな舞台を“そのまま”撮影し、映像化された本作の公式場面写真も一挙18枚が本邦初公開! 「演劇」と「映画」、そして「動画配信」、それぞれが持つ最高の要素を融合させた全く新しい『ハミルトン』を楽しむことができるはず。
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「6年、7年かけて書いた舞台を、こんなに素晴らしい映画的ビジョンで、世界中の多くの人々に見てもらえるなんて、すごく稀なこと」と語るリンは、「世界中の人々に今回の映像作品を見てもらえるようになったことを、本当に誇りに思っているよ」と言葉を続けている。
『ハミルトン』は7月3日(金)16時よりディズニープラスにて配信予定。
※なお、世界同時配信を実現するために、配信開始のタイミングでは英語音声のみ。日本語字幕版の配信については、決定次第発表される。