連載第2回にご登場いただくのは、映画館で、TVで、スマホで、交通広告で…いまや誰もが日常的に目にする映画の予告編を制作する会社「バカ・ザ・バッカ」でディレクターとして活躍する土子智美さんです。
みなさん、普段、何気なく見ている予告編を「どうせ映画の本編映像をつなぎ合わせただけでしょ?」と思っていませんか? 予告編、そこには映画監督やスタッフ、宣伝チームの作品への熱い思いを背負い、それを数十秒の映像に凝縮するディレクターの職人技と映画への愛情が!
専門学校時代のインターン体験で知った予告編の奥深さ!
――そもそも土子さんが映画業界に足を踏み入れたきっかけから教えてください。
地元の茨城大学の教育学部に通っていたんですが、一方でずっと映画の仕事をしたくて悩んでたんです。それでも教師になって地元で就職するんだろうなぁと思ってたんですが、どっちもやりたくなって悩んで…悩むくらいなら一度、やってみようと2年間、専門学校に行くことにしたんです。
とはいえ、それをなかなか親に言えなかったんですが(苦笑)、運よく、おじの一家が東京に住んでいて「それならうちに住んで通えばいいよ」と言ってもらえて、学費は自分の貯金を崩して、大学卒業後に2年間の映画専門学校に通ったんです。
――映画業界の中で特にどんな仕事に携わりたいと思っていたんですか?
最初は「これ」というものもなく、本当に漠然と「映画がやりたい」って気持ちだけだったんですよね。専門学校で映画を撮ったり、いろんなことを楽しんでいて、もともと国語科だったこともあって、書いたりするのは得意で、なんとなく「作る側」になりたいなとは思っていたんですが…。
実は、弊社の池ノ辺(直子/代表取締役社長)と地元が同じで、私が通っていた大学に、地元出身の人間の著書ということで、池ノ辺が書いた本が山積みになっていて、それを読んで「こんな仕事があるんだ!」と予告編制作の仕事を初めて知ったんですよね。
専門学校に通い始めて1年半ぐらいした時に、ちょうどこの会社がインターンを募集していまして、それですぐに募集して、面接をしてもらい、半年ほどインターンとして採用してもらったんです。働いてみたら、この仕事が面白くてたまらなかったんですよね。自分に合っていたんでしょうね。予告編の制作って「作ること」+「宣伝」の要素が入っている特殊な業界なので、それが楽しくて。そのままこの会社に入社して、もう13年ほどになります。