宮廷が舞台である本作にちなんでか、この日は王冠のブローチをアクセントにしたスタイルで登場してくださったジェーン・スーさん。「美術の圧倒的な美しさと、女優たちのそれぞれ個性あふれる魅力。ストーリー自体はおかしくもあり、物悲しくもあり、さまざまな感情が一気に渦巻きましたね」と感想を語る。
私が観た中で一番魅力的なエマ・ストーン
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物語は、没落貴族の娘・アビゲイル(エマ・ストーン)が、宮廷で女官長を務める従姉のサラ(レイチェル・ワイズ)を頼って訪ねてくるところから始まる。女王・アン(オリヴィア・コールマン)の幼なじみでもあるサラは、女王を意のままに操り、絶大な権力を握っていた。召使いとして雇われたアビゲイルは、持ち前の機転で侍女に昇格。女王にも気に入られた彼女は生き残りをかけた野望を抱くようになる。
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アカデミー賞主演女優賞に輝いた『ラ・ラ・ランド』(16)など、過去の出演作からガラリとイメージを変えたエマ・ストーンについて、「何本か出演作を観たことありますが、その中でも一番魅力的でした」と絶賛するスーさん。「アビゲイルは、どうやったら他人に気に入られるか、人の記憶に自分の印象を残せるかに関しては、ものすごく敏感。その能力で最後まで来れたタイプですよね。何をしたら相手が一番困るか、喜ぶか、ものすごく分かってる人。エマ・ストーンはいろんな表情を見せてくれたし、むき出しの心を隠さないところが、魅力的でしたね。あれぐらい自分に正直に生きられたら、気持ちいいだろうなと思いました」。
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「女性が社会で野心を持つことって、現代でも非常に難しいことだと思っています。作品に描かれる時代は特に、誰かの後ろ盾を得ないと女性は自分の欲望や野心を叶えられない。私たちは、少しはマシな時代に生きているのかもしれないけれど、一方でまだ男性のようには自分の気持ちを大っぴらにできない。共通する部分もあるなと思いました」。
“強さ”から生まれる三者三様の野望
興味深かったのは3人の関係性。単純に“女同士の対立”の一言で片づけられるものではないという。
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「単なる友情とは違う関係性ですよね。名前の付けられない感情の結び付きがあって、そこも目が離せませんでしたね。簡単にライバルとは言えないし、敵でもないし、もちろん協力者でもない。信用はできないけど、『あいつはこういうことはしない』みたいな信頼は、たぶんある。新しい形の戦友というか。お互いのことを一番よく見ているから、相手のいいところも悪いところも全部知っている。そうなると愛着も出てくるし、『さすが』と感心することもある。全部が全部嫌い、と憎み合っている人たちの話じゃないと思いました。そして3人ともすごく強い女性なんですよ。そこが見ていて気持ちいい。絶対に被害者ぶらないところも」。
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女性ならば、3人それぞれを自分の中に見つけることができそうだ。
「3人の年齢が少し離れていますよね。一番若いアビゲイルのように、自分の欲望の形をしっかり把握できないまま、生き残るためや、人より得をするための策を張り巡らせる時代があった人もいるだろうし、サラみたいに等身大以上の野望をかなえたい自分自身に戸惑ったことがある女性もいると思う。中年期に差し掛かってアンのように、自分の地位はある程度確立したけれど、果たして自分はどれだけのことができるのか、周りからもらっている敬意は本物なんだろうか、と憂いながら、人を試すような子どもっぽいことをやってしまったりとか。たぶん3人は、それぞれみんなの中に少しずつのパーセンテージでいるんじゃないかなと思います。『昔の私はこうだった』とか『今の自分は何%アンで、何%アビゲイル、何%サラ』というふうに」。
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ちなみに、この3人がもし身近にいたとしたら「逃げますね」と即答。「そこまで強い気持ちが私の中にないので。話もしたくないです。何を話しても、彼女たちが自分の欲望を叶えるための手段にされるだけだから」。
時代は違えど普遍的な心情を美しく狡猾に描く
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「現代劇でやったら、ちょっと生々しくて見てられないと思うんです。それを18世紀のお話として、豪華な衣装とセットをしつらえ、ヨルゴス・ランティモス監督の演出によって、悲しくも美しい物語にも、滑稽なブラックコメディにもなり得ている。『作っている人みんな、天才だな』と思いました。描かれているのは普遍的な人間の心の動きなので、歴史的背景に詳しくなくても堪能できます。
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ダンスシーンであえて史実に沿わない動きをしたり、アビゲイルがパンク風のメイクをしたり、鑑賞者自身のカルチャーとリンクできるシーンがたくさんある。どんな解釈もできるところが、素晴らしい。女らしくない、女たちの葛藤。型にはまらない、女らしくはない女たちの生き残りをかけた闘い。女の強靭さ、誇り高さ。これは現代に通じる部分だと思います」。
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【PROFILE】
ジェーン・スー
コラムニスト、ラジオパーソナリティ、作詞家。
1973年東京生まれ。現在、TBSラジオ「ジェーン・スーの生活は踊る」のパーソナリティを務めている。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)で第31回講談社エッセイ賞を受賞。
著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ文庫)、『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』(文藝春秋)、『今夜もカネで解決だ』(朝日新聞出版)、『生きるとか死ぬとか父親とか』(新潮社)。近著に『私がオバさんになったよ』(幻冬舎)がある。
ジェーン・スー
コラムニスト、ラジオパーソナリティ、作詞家。
1973年東京生まれ。現在、TBSラジオ「ジェーン・スーの生活は踊る」のパーソナリティを務めている。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』(幻冬舎)で第31回講談社エッセイ賞を受賞。
著書に『私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』(ポプラ文庫)、『女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。』(文藝春秋)、『今夜もカネで解決だ』(朝日新聞出版)、『生きるとか死ぬとか父親とか』(新潮社)。近著に『私がオバさんになったよ』(幻冬舎)がある。
<『女王陛下のお気に入り』リリース情報>
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2019年5月15日(水) 先行デジタル配信
2019年5月24日(金) 2枚組ブルーレイ&DVD発売 3,990円+税
(C) 2019 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
『女王陛下のお気に入り』公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/Joouheika/
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2019年5月15日(水) 先行デジタル配信
2019年5月24日(金) 2枚組ブルーレイ&DVD発売 3,990円+税
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『女王陛下のお気に入り』公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/Joouheika/
〈提供:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン〉