作曲家として、人間として、劇的な半生を送ったベートーヴェンは、最後の交響曲「第九番」まで、どんな時間を生きたのか――。2015年に初演を迎えた本舞台は、その波乱と苦悩の人生を、新しい視点と意欲的な演出&音楽表現で描き、絶賛を浴びた。
■稲垣吾郎、再びベートーヴェンに!
今回の再演でベートーヴェンを演じるのは、もちろん稲垣さん。初演では幼少期の父親からの暴力、母の死、貧困と孤独、報われぬ想い、そして音楽家にとって致命的ともいえる聴覚障害と多くの困難に見舞われ、偏屈な激情家と化した天才が持つ人間味溢れる様々な面を全身全霊で熱演した。
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今回の再演に関して「夢のようで嬉しい」と喜んだ稲垣さんは、「この『No.9』は、俳優としてさらに舞台が好きになった作品でもありました。演出の白井さんの頭の中と、ベートーヴェンの頭の中が、一気に劇空間となって表れた作品だと思っています」と思いを述べ、「今回は約半分が新キャストですが、舞台はキャストが1人変わるだけでも全く違うものになるので、前回ご覧になった方にも楽しんでいただけると思います。僕も3年ぶりで、成長していますしね」とコメントしている。
■剛力彩芽、稲垣吾郎と初共演
また、初演では大島優子が演じたベートーヴェンを支える架空の人物マリアには、「家政夫のミタゾノ」など女優として活躍する中、番組の司会も務め、近年活動の幅を広げる剛力さん。
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「まだ実感が湧いていない」と心境を明かす剛力さんは、「緊張もありますが、舞台は大好きなので、お話をいただいた時はすごく嬉しかったです」と語る。また、「稲垣さんは、お芝居でご一緒するのは初めてです。お稽古でしっかりぶつかっていきながら、そこで生まれるものを大事にしていきたいです。私の演じるマリアはベートーヴェンを支える女性でもありますので、私もそうなれるように頑張りたいと思います」と意気込みを語っている。
■ほかにもキャストが決定
さらにベートーヴェンの弟、ニコラウス役には「刀剣乱舞」「煉獄に笑う」など舞台を中心に活躍する鈴木拡樹。
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片桐仁がヨハン・ネポムク・メルツェル、小川ゲンが次弟の息子カール・ヴァン・ベートーヴェン役で続投するほか、村川絵梨、岡田義徳、深水元基、橋本淳、広澤草、野坂弘、奥貫薫、羽場裕一、長谷川初範らが参加することも決定。そして、演出は白井晃、脚本は「劇団☆新感線」座付き作家・中島かずき、音楽監督は三宅純と最強トリオが今回も手掛ける。
なお、東京公演の一般チケット一般発売は、7月28日(土)を予定している。
STORY
1800年のウィーン。作曲家ベートーヴェン(稲垣吾郎)は聴覚障害に犯され始めていた。音楽と孤独に向き合い、身分の差から愛する人ともうまくいかず、その心は荒んでいく。しかし、ピアノ工房で出会ったマリア(剛力彩芽)や弟たちをはじめとする周囲の人々との触れ合いが、彼に変化をもたらし始める。
国の情勢が刻々と変化していく中、ナポレオン軍の敗北をテーマとした曲「ウェリントンの勝利」で成功を収めたベートーヴェンは、頭の中に鳴り響く音楽をひたすら楽譜に書き留め、名曲を生み出していく。その一方で、苦しい幻影には悩まされ続けていた彼だが、そんな自分を自覚しながらも、自ら後見人となった次弟の息子カールに、自分の音楽の全てを託そうと異常なまでに執心してしまう。そして迎えた「第九」の演奏会。その創造的な試みに対する聴衆の反応は、彼の耳に届いたのか。ベートーヴェンが生涯を賭けて問いかける本当の芸術とは――。
木下グループpresents「No.9 ー不滅の旋律ー」東京公演は11月11日(日)~12月2日(日)TBS赤坂ACTシアターにて上演。大阪公演、横浜公演は12月、久留米公演は2019年1月に上演予定。