『Birds of Passage』(コロンビア/シロ・グエラ&クリスティナ・ガレゴ) 『Amin』(仏/フィリップ・フォコン) 『Carmen & Lola』(スペイン/Arantxa Echevarria) 『Climax』(仏/ギャスパー・ノエ) 『Buy Me A Gun』(メキシコ/フリオ・ヘルナンデス・コルドン) 『To the End of the World』(仏/ギヨーム・ニクルー) 『The Snatch Thief』(アルゼンチン/アグスティン・トスカノ) 『En Liberte』(仏/ピエール・サルバドリ) 『Treat Me Like Fire』(仏/マリー・モンジュ) 『Leave No Trace』(米/デブラ・グラニク) 『Los Silencios』(ブラジル/ベアトリズ・セニエ) 『The Pluto Moment』(中/シャン・ミン) 『Mandy』(カナダ/パノス・コスマトス) 『未来のミライ』(日/細田守) 『The World is Yours』(仏/ロマン・ガヴラス) 『Petra』(スペイン/ハイメ・ロザレス) 『Samouni Road』(イタリア/ステファノ・サヴォナ) 『The Load』(セルビア/オグンジェン・グラヴォニッチ) 『Dear Son』(チュニジア/モハメド・ベン・アッティア) 『Troppa grazia』(イタリア/ジャンニ・ザナシ)
『Birds of Passage』(コロンビア/シーロ・ゲーラ&クリスティナ・ガジェゴ)(写真) 「監督週間」部門のオープニングを飾るのは、コロンビア映画の存在感を世界に知らしめた『彷徨える河』(15)のシーロ・ゲーラ監督とプロデューサーのクリスティナ・ガジェゴが共同監督として製作した新作『Birds of Passage』です。
『Birds of Passage』は、70年代のコロンビアを舞台に、ドラッグ取引の活発化が農家をビジネスに巻き込んでしまう状況下において、ある原住民一家が重要な役割を果たす、という物語のようです。濃密な映像の迫力で魅了した『彷徨える河』はカンヌで大評判となり、ついにはアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるに至りましたが、果たして新作は同様のインパクトを与えられるのか。「監督週間」もオープニングから注目度全開です。
『Buy Me A Gun』(メキシコ/フリオ・ヘルナンデス・コルドン) カンヌ初参加となるコルドン監督の『Buy Me A Gun』は、暴力と麻薬と売春がはびこる世界で自由を求めて戦う少女の物語、とのこと。かなり激しい内容になりそうです。
『To the End of the World』(仏/ギヨーム・ニクルー) ジェラール・ドパルデューとイザベル・ユペールを迎えた『愛と死の谷』(15)がコンペで上映された実績を持つニクルー監督は、毎回作風ががらりと変わる実にユニークな作家で、オーソドックスに見えるドラマに実験的要素が入っていたり、著名な作家が本人を演じるフェイクドキュメンタリー的作品があったり、今回はどの手で来るだろうと楽しみにさせてくれる貴重な存在です。
正統派からエキセントリックな役まで魅力的に演じるアデル・エネルはいまのフランス映画の最重要女優になりつつあり、彼女の出演作は自動的に見たくなります。フランス革命を描く話題の大作『Un peuple et son roi』(カンヌ出品がうわさされていたものの叶わず、仏は今秋公開)にも出演していますが、『En Liberte』は少し彼女のライトな側面が見られるとのことで、ファンとしては待ちきれません。
『Treat Me Like Fire(Joueurs)』(仏/マリー・モンジュ) マリー・モンジュ監督による長編デビュー作。「監督週間」も果敢に新人を抜擢していますね。本作は、女が男に惹かれ、彼の主戦場であるパリの地下賭博の世界を発見する…、という物語とのこと。内容もさることながら、日本で7月公開予定の『リダウタブル(原題)』(17)でアンヌ・ヴィアゼムスキーを素敵に演じているスタシー・マルタン(英語読みならステイシー・マーティンだけどフランス人なので表記はどっちがいいのか悩むところ)が個人的にはとても楽しみ。
『Leave No Trace』(米/デブラ・グラニク) ジェニファー・ローレンスの存在を世に一躍知らしめた『ウィンターズ・ボーン』(10)のデブラ・グラニク監督新作です。オレゴン州の広大な森の中で世間から隠れて生きてきた父親と13歳の娘が、ある出来事をきっかけに都会での暮らしを強いられ、それぞれの試練が描かれるドラマのよう。アカデミー賞にノミネートされるまでに至った『ウィンターズ・ボーン』以来、グラニク監督8年振りの長編監督作となるだけに、今作は大いに注目を集めそうです。
『The World is Yours』(仏/ロマン・ガヴラス) ロマン・ガヴラス監督はフランスのミュージシャンやラッパーのM.I.Aの激しいMVで知られ、ヴァンサン・カッセルを主演にした『Our Day Will Come』(10)で長編監督デビューを果たしています。ちなみに、父親はコスタ・ガヴラス監督。
新作『The World is Yours』は再びヴァンサン・カッセルを主役に、ドラッグ・ディーラーがスペインで失った金を取り戻そうとする物語であるとのこと。共演にイザベル・アジャーニ。かなりPV的でスタイリッシュな映像が予告編で見られますが、カンヌで目立つアート寄りの作品と一線を画する魅力を発揮するか、注目したいです。
『Petra』(スペイン/ハイメ・ロザレス) スペインのハイメ・ロザレス監督は過去に『The Dream and the Silence』(12)が「監督週間」、『Beautiful Youth』(14)が「ある視点」に出品されるなど、カンヌに縁の深い監督です。『Beautiful Youth』はお金のためにポルノビデオに出演するカップルの物語で、都会の貧困の問題を冷静(というかむしろ冷淡)に語るスタイルが印象的でした。