脚本家・倉本氏の「シニア・高齢層を対象にしたシルバータイムを設置し、帯ドラマを放送すべき」という提案から、2017年4月から創設された「帯ドラマ劇場」。第1弾の「やすらぎの郷」から始まり、「トットちゃん!」「越路吹雪物語」を放送。そして2018年度は休止し、現在「やすらぎの刻~道」の秋からの撮影に向け、倉本氏は昨年から執筆に取り掛かっているという。
■ストーリー
ドラマは、「やすらぎの郷」からスタート。「やすらぎの郷」の主人公、作家・菊村栄(石坂浩二)は、以前“ボツ”になったシナリオを思い起こす――。白川冴子(浅丘ルリ子)、水谷マヤ(加賀まりこ)らお馴染みのメンバーが見守る中、菊村はそのドラマをモチーフに、いまは亡き“姫”こと九条摂子(八千草薫)をモデルに据え、どこにも発表する当てのないシナリオを書き始める…。
今作は、昭和・平成を生き抜いた無名の夫婦の生涯を描く物語で、テーマは“ふるさと”。「やすらぎの郷」から始まったドラマは次第に菊村の新たなシナリオ世界に変わり、夫婦の生涯をその時代と共に描いていく。また新たなドラマ「道」の展開と共に、「やすらぎの郷」のその後も合わせて描かれていく予定だ。
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■主人公は清野菜名と八千草薫
昭和初期から始まり、戦中、戦後、平成を描く本作。前半の主演は、「トットちゃん!」では黒柳徹子に扮し話題となった清野菜名。そして、戦後の高度成長期を経て現代にいたるまでの後半、いわば主人公の晩年を八千草薫が演じていく。
■倉本聰コメント
東京ファーストと人は言います。
この言葉に私は疑問を持ちます。
東京は地方人の集合体です。たとえ、都会のコンクリートの上で生まれ育った人間が圧倒的にいま増えているといっても、人々はどこかで、そのルーツである“ふるさと”の土の匂いに頼っており、そこに郷愁を感じています。
中高年層においては、特にそうです。
都会といういわばガラス細工の、砂上の楼閣に暮らしていても人はふるさとの原風景を心の中に秘かに刻んでいます。
子どものころ親しんだ、田舎の、未舗装の一本の小道。
いまは便利になり、アスファルトで覆われ、高速道路が縦横に走る豪華な世の中になったとはいえ、人々が最後に心に描くのは己の貧しい原風景の中にある“ふるさと”の細い小道ではないか。
このドラマはそうした小道の変遷を通して、昭和・戦中・戦後・平成、日本の豊饒への歴史を辿りながら、それに翻弄される一組の夫婦の“倖せ”への郷愁を探り、描くものである。
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帯ドラマ劇場「やすらぎの刻~道」は2019年4月よりテレビ朝日にて放送予定。