日本列島に“ピエロ旋風”を巻き起こしている最大の要因は、“最恐”ピエロのペニーワイズを演じたビル・スカルスガルドの怪演にほかならない。このビルの父親はスウェーデン出身の名優ステラン・スカルスガルド、兄も美形実力派のアレクサンダー・スカルスガルドだ。いま最もアツい視線を送られる、“最強”の芸能一家・スカルスガルド家の面々に迫った。
■ハリウッドを席巻するハイスペック家族、スカルスガルド家とは?
日本はもちろんのこと、ハリウッドでもクリント&スコット・イーストウッド親子、クリス(次男)&リアム(三男)&ルーク(長男)のヘムズワース兄弟など、2世俳優や兄弟俳優たち、芸能一家は珍しくはないが、揃いも揃って190cm超えの高身長で美形、父のみならず、子ども4人(8人中)が俳優というスカルスガルド家は特別。
エイヤ・スカルスガルドのFacebookより
父ステランといえば、悪役からコメディまでこなせるキャリア50年のベテランであり、長男アレクサンダー(以下、アレックス)は“世界で最も美しいターザン”として知られる。そして、次男グスタフは全米ヒットドラマ「ヴァイキング~海の覇者たち~」に出演、四男となるビルは『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』の世界的大ヒットによりハリウッドの最注目株に。三男は母親(ステランの前妻)と同じく医師の道を選んだが(でもやっぱり長身イケメン)、五男ヴァルターも俳優として活躍中、長女のエイヤは元モデルと、まさに向かうところ敵なし!? の“最強”一家なのだ。
父:ステラン・スカルスガルド
代表作『ドラゴン・タトゥーの女』『マイティ・ソー』シリーズほか
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1951年生まれのステランは、本国スウェーデンでTVシリーズやストックホルム王立劇場の舞台俳優として活躍後、1972年に映画デビュー。ラース・フォン・トリアー監督のカンヌグランプリ作『奇跡の海』(’96)や、ビョークが主演した『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(’00)などに出演。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズではオーランド・ブルーム扮するウィル・ターナーの父親“靴ひものビル”役で広く知られるようになった。
『ドラゴン・タトゥーの女』や『ニンフォマニアック』などでクセのある役を演じたかと思えば、『マンマ・ミーヤ!』ではコリン・ファースやピアーズ・ブロスナンと“父親候補”の1人を演じたりと、その演技は実に幅広い。
マーベルの『マイティー・ソー』シリーズでは天体学者エリック・セルヴィグ役を務めていたが、『アベンジャーズ』でロキ(トム・ヒドルストン)にヒドいことをされてしまったせいで、『マイティー・ソー/ダーク・ワールド』では全裸でストーンヘンジ遺跡を駆け回るという奇行も…。名優になんてことさせるんだ、と思った人も多いはず。でも、長男のアレックスもそうだが、脱ぎっぷりがいいのもスカルスガルド家の特徴(!?)といえる。
また、プライベートでは、アレックスを筆頭に6人の子どもをもうけた前妻と離婚後、なんと息子と同い年生まれの映画プロデューサーと再婚。さらに2人の息子が誕生し、8人目が生まれたのは61歳のときという達者ぶり。
なお、『劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーション』(’10)ではマッツ・ミケルセン、ピーター・ストーメアら北欧を代表する俳優たちがボイスキャストを務めたが、アレックスとムーミン親子を演じたこともファンの間では話題となった。
長男:アレクサンダー・スカルスガルド
代表作『ターザン:REBORN』「ビッグ・リトル・ライズ セレブママたちの憂うつ」
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1976年生まれ、完璧すぎるブロンドとグリーンの瞳で知られるアレックス。父の影響を受け、1984年にスウェーデンで映画デビューを果たすも、一時は軍隊に入隊。その後、俳優復帰し『ズーランダー』でハリウッドに進出した。大人のためのヴァンパイアドラマ「トゥルーブラッド」のエリック・ノースマン役で肉体美を惜しげもなく披露してブレイク。レディー・ガガ「パパラッチ」のPVや浅野忠信が出演した『バトルシップ』などでも注目を集めた。
2016年には『ターザン:REBORN』に抜擢され、来日も果たしたアレックス。「世界で最もハンサムな顔」常連のカリスマ性あふれるルックスとは裏腹な、茶目っ気たっぷりの飾らない素顔のギャップ、そして“神対応”のファンサービスには日本のファンもメロメロに。
今年9月に行われたエミー賞では、最多タイ5部門受賞のHBO「ビッグ・リトル・ライズ セレブママたちの憂うつ」でニコール・キッドマンの年下夫を演じ、リミテッドシリーズ/テレビムービー部門・助演男優賞を獲得。本作のリッチで美男美女、非の打ち所のない夫婦の“裏の顔”には、誰もが震撼した。アレックスは受賞も納得の熱演を見せている。
かと思えば、MTVに「僕はターザンだから」とパンツ姿で登場しサミュエル・L・ジャクソンを失笑させたり、アレクサ・チャンをはじめ錚々たるセレブと浮き名を流したりと、常に話題を提供。先月には、側頭部の髪だけを残してツルンとなった“波平”風の髪型でイベントに登場して衝撃を呼んだばかり。これはジェシー・アイゼンバーグ、カーラ・デルビーニュ共演の新作『ザ・ハミングバード・プロジェクト』(原題)の役作りのためだそうだが、この撮影中に怪我をしてしまったらしく自らインスタにアップ。本当、話題に事欠かないイケメンだ。
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四男:ビル・スカルスガルド
代表作『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』『アトミック・ブロンド』
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1990年生まれ、今年27歳となったビル。10歳のときに兄アレックスの出演作で映画デビュー。2014年に日本で公開された『シンプルシモン』(’10)では、他人との距離のとり方やこだわりが独特のアスペルガー症候群の青年を好演して、大きな注目を集めた。同作はアカデミー賞外国語映画賞スウェーデン代表作品に選ばれ、日本でもスマッシュヒットに。
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だからこそ、彼が『IT/イット』でペニーワイズになると知ったときには驚きを隠せなかった。しかも映画を観たら、素顔を隠した最恐ピエロぶりでさらに驚愕! そして今年は、キーマンともいえる役柄を妖艶に演じたシャーリーズ・セロンの『アトミック・ブロンド』、兄アレックスが「ビッグ・リトル・ライズ」で共演したシャイリーン・ウッドリーの主演シリーズ『ダイバージェント:FINAL』と、3作品が相次いで日本公開に。兄同様、ヴァンパイアを演じたNetflix製作のホラードラマ「ヘムロック・グローブ」も一挙にソフトリリースされることになった。
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『IT/イット』では完全封印されていた兄アレックスをも凌ぐ色気は、これらの作品ではバッチリと堪能できる。スティーヴン・キング原作×J・J・エイブラムス製作総指揮のHuluオリジナルドラマ「Castle Rock」なども待機しており、ますます目が離せない存在だ。
次男も五男もTVシリーズで活躍中
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『IT/イット』のUSプレミアに、アレックスとともに駆けつけたのが次男のグスタフ。1980年生まれ、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』のヨアヒム・ローニング&エスペン・サンドベリ監督コンビが同作に抜擢されるきっかけとなったノルウェー映画『コン・ティキ』(’12)などに出演してきた。
ワイルドみのあるルックスで、「THE TUDORS~背徳の王冠~」「ボルジア家愛と欲望の教皇一族」の製作陣による「ヴァイキング~海の覇者たち~」に出演して人気を集め、「ウエストワールド」シーズン2にも出演する。
また、ビルのすぐ下の妹はエイヤ。1992年生まれの現在25歳。14歳のとき、父ステランの『パイレーツ・オブ・カリビアン』プレミアに出席した際、モデルにスカウトされた。きょうだい唯一の女の子だが女優には興味ないそうで、現在はモデルをやめ、ストックホルムでナイトクラブのマネージャーをしているという。
エイヤ・スカルスガルドのFacebookより
そして、1995年生まれ、22歳になったばかりの五男ヴァルターもまた、子役からキャリアをスタートさせ、スウェーデン発のスリラー「Black Lake」(英題)がBBCで放送されたところ。まだ少年ぽいあどけなさを残す彼も、今後の活躍が期待されている。
来年以降も話題作出演が続く売れっ子ばかりながら、プライベートでは仲良しのスカルスガルド一家。個々の活躍に、これからも注目していきたい。